ニッケイ新聞 2011年4月16日付け
天気予報は間違いだらけなのに—選挙の予測は、いやになるほどによく当たる。昔は、悉皆調査であり、有権者を1人また1人と会い、または電話で連絡して聞き取ったものだが、この方法をひっくり返したのが、米の統計学者・ギャラップだった。今も語り継がれるのだが、1936年の米大統領選の予想でギャラップは悉皆調査に見事に勝ったのである▼民主党はルーズベルトの再選を掛け、共和党はランドンが立候補し激戦を展開したが、有力誌「リテラリー・ダイジェスト」は、250万人に電話をし「ランドン勝利」と報じた。ギャラップは、無作為抽出の3000人を対象にし「ルーズベルト再選」を国民に示し、この結果の通りになったので国民らは驚き、大騒ぎになったのエピソードもある▼この世論調査は、日本のマスコミも大好きだが、いずれもギャラップ方式を採用し、先の都知事選なども「民主党敗北」の見方が圧倒的だった。北海道と三重も自民党が勝ち、民主党は連敗。道府県議選でも大敗を喫してしまい—あの「民主ブーム」は路傍の露のように消えた。この民主離れは、東京や大阪などの都会で顕著であり、あの政権を手にしたときの「熱」はもはや去ったと見ていい▼それもこれも、政権がだらしないからだし、あの宇宙人内閣は沖縄問題で混乱だけを引き起こし、「引退」を宣言しながら、すぐに「撤回」のピエロを演じ、菅首相の人気も、大震災で少し高まったけれども、まあ一時は20%を割るし最低に近い。と、こんな体たらくでは、国民がそっぽを向くのも当たり前だし、近頃は民主党内からも退陣論が根強い。(遯)