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ブラジルでも原発反対が増加=日本の事故の影響顕著=国内での発生に強い不安=風力発電への期待膨らむ

ニッケイ新聞 2011年4月20日付け

 日本の福島第1原子力発電所での事故後、世界的に高まる原発見直しの動きと同様、ブラジルでも、原子力発電に反対する人が54%に増え、世界平均の43%を上回ったと19日付エスタード紙が報じた。

 3月11日に発生した東日本大震災とそれに続く福島第1原発の事故報道は、世界中を驚かせ、原子力発電の是非を巡る論争などにも発展しているが、エスタード紙が掲載したのは、ブラジル世論調査・統計機関(Ibope)による聞き取り調査の結果だ。
 同様の調査はGlobal WINにより世界47カ国で行われ、電話やインターネットを使った国もあった。ブラジルは、3月21日〜4月10日に調査員が対面調査を行い、原子力発電に全面的に賛成、賛成、反対、全面的に反対の4つで答えてもらい、日本での事故以前はどう思っていたかも聞いている。
 報告によると、ブラジルでは、全面的に賛成12%(事故以前は13%、以下同)で、賛成20%(21%)、反対15%(13%)、全面的に反対39%(33%)、分からない・無回答14%(17%)だった。
 また、ブラジルの原発でも同様の事故が起きるのではとの不安を持っている人は57%で、その半数は非常に不安だと答えている。この比率は世界平均の49%を上回っており、回答者の40%は、リオ州にあるアングラ原発で事故が起きた時、適切な対応策がある否かさえ知らないという。
 ブラジルは、アンゴラ1〜3号機の他に、4つの原子力発電所建設を計画しているが、今回の日本での事故を受け、アロイジオ・メルカダンテ科学技術相は「今後の建設についての最終判断は日本の事故後の経過をみて」と発言している。
 また、アンゴラ原発では、事故が発生した時に冷却作業に支障が出ないよう、水力発電所を併設する事を決めている。
 一方、大型の水力発電所建設では、ジラウ、サントアントニオの建設が一時中断し、ジラウでは労働者解雇の動きも出ているため、シングー川のベロ・モンテ発電所建設では労働条件などを巡る混乱が無いよう検討開始との報道も流れている。
 ブラジルの電力事業は水力と火力が中心だが、広域停電も増える中で注目されるクリーンエネルギーは風力発電。19日付フォーリャ紙によれば、開発は加速化してきているが、現在の風力発電量は全体の0・5%、2013年も4%程度との見込みを示している。
 なお、Ibope調査では、東日本大震災に関し、日本の復興は困難と考えている人は31%のみで、速やかに復興し震災前のレベルに戻るが49%、震災前より発展が13%と報告された。