ニッケイ新聞 2011年4月20日付け
環境保護法違反に問われている国内の農場所有者の内95%は、現在検討中の環境保護法改正案が承認された場合、違法ではなくなると、16、17日付エスタード紙が報じている。
環境保護法の改正案は昨年、ブラジル共産党(PC・do・B)のアウド・レベロ下議によって提出されており、特別委員会でも採決されたが、あまりにも農業の拡大に有利な改正案だったため、政府や環境保護主義者の反対が大きく、国会承認とならなかった。
しかし、そのレベロ氏の案を6月までに国会で承認させるために、政府が14日に改正案の手直しを行ったという。
レベロ氏の環境保護法改正案は、河川流域の自然保護区域幅を現在の30メートルから15メートルに削減する事と、農場内であっても法定アマゾンなら80%、その他の植生では植生毎に決められている自然林保護区域を削減し、許容基準以上に伐採した所有者も既存の伐採域については不問とする事などが含まれていた。
政府としては、河川流域の保護区幅の削減には反対だったが、今回の同意では、川幅10メートル以下で既に開発済みの所では特例として認め、環境保護法発効までに登記所に登録されてなかった農場内の自然保護域伐採については不問とする事などを認めたという。現在不法伐採が行われたとされている面積は87万平方キロに上るが、今回の合意でどの位の面積が合法化されるのかには言及されていない。
また、農場所有者が不法伐採した分を、同じ植生を持つ地域ならどこでも良いから再植林すればよいという案について、サンパウロ総合大学(USP)生物科学研究所のジェアン・パウル・メッガー氏は、「どこでも良いから受け入れて合法化するのでは、問題は解決できない」と批判。再植林するなら、同じ植生を持つ地域全域ではなく、伐採したのと水源系が同じ、2万〜5万ヘクタールの範囲内で認めるべきだと主張した。
改正案の中には、まだいくつかの問題点があり、政府は保護区に指定されている地域の利用に対する規則などを明らかにしなければいけない。