ニッケイ新聞 2011年4月21日付け
サンパウロ州データ分析システム財団(Seade)が19日に発表したデータによると、大サンパウロ市圏では2000年から2010年の人口流出が人口流入を年平均3万人余り上回り、この間の人口増加率は0・98%、サンパウロ州全体の人口増加率でも過去70年間で最低の1・1%を記録したと20日付エスタード紙が報じた。
2010年地理統計院(IBGE)実施の国勢調査によると、2000〜10年の大サンパウロ市圏での人口流出超過は年平均3万362人で、1991〜2000年の年平均2万4399人の流入超過という数字と比べ、人の流れが大きく変わっている事が顕著だ。
大サンパウロ市圏での人の流れはサンパウロ州全体にも影響を及ぼし、1991〜2000年には年平均14万7443人だった流入超過が、2000〜10年には年平均4万7946人にと67%も減少。出生数から死亡数を引いた自然増も加味した人口増加率も、1・8%から1・1%に低下した。
サンパウロ州には、大サンパウロ市圏の他、バイシャーダ・サンチスタとカンピーナス周辺の二つの都市圏があるが、バイシャーダ・サンチスタでは、2000〜10年も年平均5038人の流入超過(1991〜2000年は1万3115人、以下同)で、カンピーナス都市圏も、2万3632人(2万6433人)の流入超過を記録している。
カンピーナス都市圏での人口流入が他の地域ほど落込んでいないのは、ヴィラコッポス空港の拡張や工場などの進出が続いている事によるもの。交通事情の改善で、同地域が大サンパウロ市圏への通勤範囲とみなされるようになった事も一因だ。
州全体で見た人口流入超過は、ショッピングセンターやファストフードのチェーン店などの進出が続く中規模の市で起きており、年平均3806人の流入超過を記録したインダイアツーバが州内トップ。中規模でありながら平均300人の流出超過となったサンタバルバラ・ドエステは、唯一の例外だという。
一方、ラ米一の経済力を誇るサンパウロ市やその周辺からの転出増は、住宅事情や生活環境の悪化、他の地域の経済成長などが一因で、通勤に3時間かかる上、仕事などのペースを落とせないと苦言を呈するシウヴァナ・S・ダヴィニさんは、年内にイツー市に転居の予定だ。
生活環境については、6日付G1サイトに、サンパウロ市住民が心筋梗塞を起こす可能性は空気の良い所に住む人の2・3倍で、住民の26・6%は高血圧症患者との記事があったが、22年前サンパウロ市に転入したバイア出身のヴァウキリア・C・フェラーリさんは、健康を害し、空気の良いジュンジアイー市に移転した。
また、全伯で人口流入が多いのは、経済成長率が南東部や南部を上回る北東部や北部、中西部。地元で働き口が見つかったと引き上げたりする人が増えた事も、サンパウロ州の人口増加率低下の主因の一つとなっている。