ニッケイ新聞 2011年4月26日付け
サンパウロ州環境局が20日に発表したデータによると、2008年のサンパウロ州での温室効果ガス排出量は1990年より58%増え、交通機関が最大の汚染源となっていると21日付伯字紙が報じた。
2020年までに温室効果ガス排出量を2005年比20%削減との目標を2009年に発表したサンパウロ州にとり、08年の温室効果ガス排出量が二酸化炭素(CO2)換算で1990年比58%増の9570万トンという報告は大きな警鐘だ。
サンパウロ州でのCO2排出量は、1990年が6070万トン。2005年は8880万トンで、05年比20%削減には、1770万トンのCO2をカットしなければならなかったが、20日の発表によれば、08年の排出量は7・8%増え、総合的な対策が欠如している事の表れでもある。
サンパウロ州エネルギー局の計算によると、当局が早急な対策を採らない限り、温室効果ガスの排出量は増える一方で、2020年は05年の55%増、2035年には倍以上になると見られている。
今回、州環境局が発表したデータでは、乗用車やバイクからのCO2排出量は1410万トンに及び、工場関係の排出量1220万トン以上。これにバスやトラック、鉄道、水上交通、航空機を加えた交通機関全体の排出量は、全体の40・5%に及ぶという。
専門家は交通機関からの排出量の内、注目すべきは車両と航空機だというが、ガソリンやディーゼルといった化石燃料の使用制限や、地下鉄や鉄道への乗換えを促進しない限り、交通機関からの排出を抑える事は不可能だという一方、サンパウロ市の地下鉄は世界で最も混んでおり、早急な改善が必要との記事も出たばかり。航空機に関しても、クンビッカの混雑は1日中との記事が24日付フォーリャ紙に掲載された。
21日付フォーリャ紙には、サンパウロ州のCO2排出量は全伯の5%のみで、1990年比58%増とはいえ、国内総生産の33%、総人口の21%を占める事を考えれば良好との記述もあるが、車両の登録数はサンパウロ市だけで700万台を超えるサンパウロ州では、燃料の消費やそれに伴うCO2排出を抑える方法は限られる。24日付エスタード紙が、燃料の〃アパゴン〃でガソリンやエタノールの輸入が増え、配送業者達も不足を訴えていると報じている事を考えても、燃料や環境対策、交通網の充実など、解決すべき事柄は山積みといえそうだ。