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東日本大震災支援キャンペーン=がんばろう!〜 ニッポン=カンピーナス=後藤健

ニッケイ新聞 2011年4月26日付け

 このたびの大地震で被災された方や身内を亡くされた遺族の方へ、はるかブラジルより同朋の一人として哀惜の念を覚えると共に、一日も早くこの苦境を乗り切れるよう心からエールを送っています。
 NHKのTVで毎日放映されるニュースで、被災状況を見るにつけ、自然の猛威の恐ろしさにあ然としています。
 天災発生から1カ月が経ち、死亡確認数より多い行方不明の方の生存はもう望めませんが、亡くなられた多くの人々は瓦礫に潰されながら、どんな心境で亡くなってゆかれたのでしょうか? 思うだに胸が裂けんばかりになります。
 もちろん今となっては、生存者の救済が先決ですが、あの極限状態の中でも日本人のマナーの良さは、外国に住む私たちも同朋として誇りに思います。
 不慮の事故で、身内を亡くしたその悲しみは、同じ人間ですから嘆き悲しむのは当然です。が、ここのブラジル人なら泣きわめき、自失してしまいますが、日本の被災者は毅然として取り乱さず、忍耐強く災難に対処している姿を見て、世界中の人々は敬意さえ感じているでしょう。
 どこの国でもこうした非常時には、暴行や略奪が起きるのは当たり前のことですが、この震災で、それが一度も見られないところ、さすが日本人の国民性のあらわれでしょう。
 人間性の発露として、各国から愛の手がさしのべられています。日本在住の日系出稼ぎは、これまで犯罪に走ったり、品行の悪さを非難されて来ましたが、それはほんの一部の者で、この度の震災では物資援助に在日二世たちが現地に一番乗りしたといいます。それでブラジル人の隣人愛のあたたかさを見せつけたわけです。
 やはり日本人の血をついだ誠実さと、ラテン系の心の優しさがさせた所以でしょう。在伯日系も、個人・団体と心を一つに、祖国日本の窮状をなんとか少しでも手助けしようと、募金活動を方々の自治体で起こしています。
 この度ほど日系人が連帯を意識したことはありません。知人のブラジル人からも、私の親戚で震災にあった人はいないかと幾度も尋ねられた位、皆心配しています。
 北伯の貧しい小学生達が、先生の誘導で、なけなしの小遣いを少しづつ集めて、97レアルを赤十字に送ったという涙の逸話があり、こうした博愛の真心もそのうち日本の皆さんに届くはず。
 一時、世間を騒がせた大韓航空爆破の犯人、金賢姫も、人々から忘れられ、ひっそりと韓国で暮らしているが、昔、迷惑をかけた償いに義捐金を贈ったというように、世界中の善意が日本に向けられていることを信じ、明日に向かって頑張ってください。
 先の大戦で壊滅の国土を、僅かの間に復興させた経緯のある日本ですから、必ずや立ち直ってくれることを信じています。
 地球の反対側から〃がんばれニッポン〃は、もう云い尽くしたかも知れませんが、他に言いようがありません。
 復興と言っても、新しく作り変えるのではなく、元のままの素朴な東北に戻して下さい。
 私の一番好きな自然が息吹く美しい日本に!