ニッケイ新聞 2011年4月27日付け
ブラジル戸田建設株式会社の新しい社長として三上悟氏(57、秋田)が今月1日付けで着任し、林恒清前社長(61、東京)とともに12日本紙を訪れた。
援協社会福祉センターの施工など、日系社会とも縁の深い同社は、現在ある日本からの進出建設会社としては唯一の存在で、同社の海外現地法人の中では最大。2度目のブラジル勤務となる林社長は2008年12月から2年5カ月間駐在した。
97年から6年間の最初のブラジル勤務と比べ、「ブラジル自体が世界と伍して強くなった」と話す。今回は赴任直後リーマンショックによる冷え込みがあったものの、昨年は受注が倍以上になり「人手が足りないぐらい。嬉しい悲鳴でした」という。ブラジル地場企業との競争は厳しかったとしながらも、「工期や品質を守ることに主眼を置き、それが評価されたと思う」と振り返る。
初めての海外勤務という三上新社長は、サンパウロに到着して約2週間。最初は「建物の構造など驚きの連続だった」が、次第に「ブラジルの方が上の部分もある。日本が全て正しいとは思わないようになった」という。「ブラジルは五輪やW杯、万博の話もあり、いい時期に来たと思う。ブラジルのためにできることをして、それが日本に映し出されていけば」と話す。
ブラジルの建設市場では技術者や人手の不足が懸念されているが、三上社長は「問題をクリアしながら、戸田らしい建物を作りたい」と抱負を語った。