ニッケイ新聞 2011年4月27日付け
東日本大震災への義捐金の中には一般ブラジル人に加え、台湾系華僑も多く協力したとの話を聞いた。当地発行の台湾語新聞でもさかんに関係報道がされている▼3月24日付け『台湾僑報』では、本国から400トンもの緊急物資を福島や仙台などの被災地に運んだと報じ、「あまりの多さに日本人が驚いた」とある▼4月16日付け『美洲華報』には「台湾からの支援額が世界で一番に」との見出しで、4月1日までに送られた義捐金が109億円を超えたとある。世界130カ国から寄せられた義捐金の中で、台湾は米国を抜いて世界一になったという。わずか人口2300万人の本国からこれだけの金額が寄せられたことは、当地の台湾コロニアにも強い影響を与えた▼台湾の義捐金の話はなぜか日本ではあまり報じられていない。隠れた大貢献だ。当地からの支援の中で、最も素早くかつ大規模だったのは某進出企業だ。懐中電灯9万2千個(138万レアル相当=約7千万円)を航空便にて3月21日着荷で送った。会議所筋は完全に秘密にしていたが、よく調べてみたらパナソニック社だった。先ごろ、ミナス州に白物家電工場の定礎式をしたばかり。隠れた心意気に喝采を送りたい▼隠れた心意気といえば、先日活動を停止したグルッポ・ニッケイを12年間支えてきたのは、島袋レダ代表の家族が経営する印刷会社パウロス社だ。毎月3千レも持ち出して活動を支えてきたとの話をこっそり聞いた。「12年分まとめたら最新型の印刷機の一台も買えたのに」との社内の声を押し切って、この活動を続けてきた。コロニアにも多くの美談が埋もれている。(深)