ニッケイ新聞 2011年4月30日付け
地理統計院(IBGE)が29日、2010年8〜10月に行われた国勢調査の最終報告の一部を発表した。同院サイトなどによると、ブラジル総人口は1億9075万5799人に上方修正された他、少子高齢化などの傾向が一段と明確になっているようだ。
国勢調査は10年毎に行われており、2000年には約1億6980万人だった総人口が、暫定集計の1億9073万5694人から上方修正など、詳細を見直した数字が発表された訳だ。
統計結果の取り上げ方は様々で、29日付G1サイトは、1872年の最初の国勢調査以来、総人口は約20倍に増えたが、世帯当りの構成員数は13・2%減って3・3人になったといった数字を掲載し、アジェンシア・ブラジルでは女性が男性より400万人多くなったと報じた。
統計の読み方はそれぞれだが、65歳以上の人の数は1400万人で4歳以下の子供の数は1380万人とか、世帯当りの構成員数は3・3人に減少という数字からは、少子高齢化が一段と進んでいる事が伺われる。
2010年の場合、4歳以下の子供は、1991年の人口比11・2%や2000年の9・6%から7・3%に減り、高齢者が、4・8%、5・9%、7・4%と増えているのと好対照。
医療向上なども反映した平均寿命の延びは喜ぶべきだが、2010年の人口が、10〜14歳から25〜29歳までがほぼ同数で、5〜9歳、0〜4歳に先細りとなる様子は、少子化に拍車がかかった証拠だ。
また、少子化や核家族化を反映する様に、1世帯当りの構成員数も、2000年の3・8人から3・3人に減少。3人世帯24・8%を最高に、2人が22・3%、4人が21・2%で、一人所帯も12・2%。
家族構成のあり方の変化は、近年の住宅販売で1寝室や2寝室の物件の需要が伸びている事などからも明らかだが、高齢者の一人暮らしが増えているならば、社会福祉や労働市場などのあり方も一考を要する。
労働市場で50歳以上の雇用が増え、年金生活者が家計の中心となる例増加などは、国全体の人口構成の変化が別の形で表れたものだ。
また、出生数は男性の方が多いのに全体の人口では女性の方が多いのは殺人や交通事故などで死亡する数の差が原因とされ、唯一男性優位の北伯は、鉱業など男性を必要とする職場が多いなど、様々な社会的要因も背景にある。
貧困撲滅を選挙公約としたジウマ政権が、極貧家庭150万を対象とする福祉計画を発表したのも29日。家族一人当たりの収入が最低賃金の4分の1以下の世帯が525万とのIBGEの統計と比べると極貧の基準が定かでないが、〃豊かな国は貧困者のいない国〃とのスローガン実現が待たれている。