ニッケイ新聞 2011年5月3日付け
サンパウロ日伯援護協会(援協)の森口イナシオ前会長と、菊地義治新会長が、先月28日に来社し、交代の挨拶を行った。
森口前会長は任期中にあった移民100周年、援協創立50周年、援協社会福祉センターの設立を振り返り、「援協半世紀の歴史の中で最も盛り上がった時期だった」と語った。
しかし、ブラジル政府による福祉団体への法的規制が厳しくなっている近年、「援協の事業は徐々に福祉から医療へとシフトしていかねばならない」と方向性を示す。
今後も公益法人として免税措置を受けるためには、「新たな法令に対応できる組織にすべく、色々な面で改革を行っていく必要があると感じる。大変だと思うが、今後は菊地さんに託したい」とバトンを渡した。
菊地新会長は今後の援協について、戦前移民が戦後移民を助けることを目的に援協が創立された歴史を踏まえ、「まずは基本に立ち返ること」を挙げる。
援協の精神、本来すべき仕事とは何かを再度見直し、ブラジル社会から社会的意義を認められる組織を目指す〃温故知新〃をテーマにするようだ。
「様々な課題があるが、これだけの組織になって消滅すれば日系社会に対する責任問題。南銀やコチアのようになってはならない。マンネリを打破し、次世代に事業を継承していく」と表情を引き締める。
改革の第一歩として現在考えているのは、ブラジル政府に対して交渉力を持つため日本進出企業とのタイアップだ。
福祉センター2階部分の健康診断センターの活用を積極的に呼びかけ、現在100社以上が利用、ブラジル企業からも申し込みがあるという。
「コロニアと駐在員社会の垣根を取り払い、援協が良いサービスを提供しているということをブラジル政府に訴える。そして最終的に利益を日系社会に還元していきたい」と意気込みを語った。