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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年5月4日付け

 今年の文協選挙も前回同様、木多喜八郎会長を推す体制派と、その打倒を数年来叫び続けている小川彰夫派の一騎打ちとなった。結果は既報の通り、体制側が過半数を大きく超える65票で圧勝した▼林アンドレ評議員がIPTU、INSS問題に触れたところが見所だった。議長だった評議員会長の原田清氏は法律の専門家。理路整然かつ朗々と語ることで、会場の空気をコントロールした。投げられた爆弾を見事に投げ返した格好だ▼評議員役員選挙では、「統合と進歩」「みんなの文協」の得票がそれぞれ59、46だった。それが理事会選挙では65、40になった。両選挙ともに同シャッパに投じるつもりだった6票が動いたのではないかと分析している人がいた。それくらい見事だった▼個人的に感心したのは、助詞以外をほぼポ語で話すという原田氏の法律コロニア語だ。「INNSは08のメジーダ・プロヴィゾリアで文協がフィナントロピアにアジミチされとるから、コンスティショナルにセルト。そのインポストをパガせんでもいいジレイトがある」。これを理解できるのは、世界広しといえどもコロニアだけ▼もう一つ感心したのは、見事に消えた木多会長の存在感。当選後、壇上で勝利宣言を原田氏に促され、手を差し上げられた姿がマリオネットに見えたのはコラム子だけではないだろう。選挙が体制側に有利に進行されたと小川氏は再出馬を否定している。木多氏は、「民主的に選ばれた」と強調するが、しこりが残るのは否めない。将来から見て今の文協は盛衰どちらの岐路に立っているのだろうか。(剛)