ニッケイ新聞 2011年5月6日付け
2010年もムンダウ川氾濫などで深刻な被害に襲われたペルナンブコ州とアラゴアス州が、今年もまた大雨に見舞われ、5日現在、両州の死者は3人、浸水その他の被害を受けた人々はペルナンブコ州だけで14万人を超えたと5日付ブラジルメディアが報じている。
昨年の同地域はムンダウ川の水門決壊などが被害を大きくしたが、今年はウナ川氾濫などで、4日現在、ペルナンブコ州(PE)で2人、アラゴアス州(AL)で1人の死亡確認の他、浸水や家屋崩壊で避難を強いられる人の数も日毎に増加。水位が上がり、氾濫する可能性がある川はその他にもあるようだ。
PEとALの水害は、1974年の観測開始以来という降水量記録の4月に続き、4日間で5月の平均降水量の77%が降るという大雨の結果。レシフェ市では、4月に月間平均降水量345ミリの倍近い650ミリ、5月も、4日11時までに月間平均降水量318・5ミリの80・3%に当たる255・8ミリの雨が降っている。
このような強い雨の影響で、PEでは48市で水害が発生し、16市が非常事態宣言。ALでも、海岸部と北部中心に10市が非常事態宣言を出しており、5日付エスタード紙によれば、ALサンルイス・ド・キトゥンデで子供一人が死亡。PEではジャケイラとカマラジベで死者が出ているというが、同日付テーラサイトでは、カマラジベとヴィトリア・デ・サントアントンで死者各1人となっている。
ALのジャクイペは昨年に続いて被害が出ている町の一つで、昨年の水害後も洪水や土砂崩れが起きる可能性の高い危険区域に住み続けている人が多く、浸水などの被害に遭っている家屋が70%に及んでいる。
また、ウナ川の氾濫で大きな被害が出ているPEのバレイロスでは家屋約4千軒が崩壊し、2万2千人余りが避難所や知人宅に身を寄せている。パウマーレスでも900軒が崩壊し停電や断水なども含む被災者は5万8千人。PE全体では14万4532人が被災、ALでも6135人が被害を受けているとの報道は5日付G1サイト。
このような状況を受け、上院は4日、今回被害が出ているPEやALの市町村、1月に大きな被害の出たリオ山間部やミナス州の市町村など、天災被害を受けた自治体支援に10億レアルの支出を承認。5日付官報には、PE向けに1870万レアルを即時払い出しと記載されたという。
PE防災局は、被災者支援のため18トンの食料などの必要を訴えているが、リオ州山間部への支援物資がそのまま放置されたとか、集積地で他者の手に渡って悪用という報道もある中、必要な物資が集まるか否かと共に、支援物資が必要な人や必要な所に届くか否かも見届ける必要がある。