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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年5月10日付け

 先週末に「米、海兵隊移転費を水増し」を一面で報じた。見出しにも記したように「ウィキリークス」の情報であり、真実か偽りかは解からないが、昨年11月の米外交文書流失事件もあるし、話題性はとても高い。豪州生まれのアサンジ氏が率いる「ウィキリークス」は、公電などを暴露するものだし、米政府は「全面戦争」を宣言。カストロやチャベスは「内容は本物」とその勇気を称賛する▼前原外相(当時)も「犯罪だ」と厳しいが、昨年の暴露では、米文書が25万件も公表され、うち5500件が東京発で機密文書が1900件も含まれていた。これでは、怒らざるをえないし、ヒラリー国務長官も、膨大な外交文書が世界中に流された後に11ヵ国首脳に電話し「遺憾」の意を伝えている。我が菅首相も、今回の記事に対して「公式な情報ではない」としてコメントを拒否している▼まあ、これは宰相としては致し方ない答弁であろうが、どうもすっきりしないのも確かである。鳩山前首相も「クリントン国務長官に普天間の辺野古移設を容認した」の話を否定しているし、政治や外交の話はどこに真実があるのか、とてものほどに解かり難い。ピアスの「悪魔の辞典」によると、外交は「自国のために虚偽を申し立てる愛国的行為」だそうだが、今回の水増し論も、これにあたるのかなー▼また海兵隊8000人とその家族9000人をグアムに移転としているが、実際にはこれを下回るとも文書にはあるそうだ。こうなると—いったい何処を信じたらいいのかと—国民は戸惑うばかりだし「ウィキリークス」への疑問は多い。(遯)