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「第3の波」到来か=ブラジル進出企業の今を追う=《3》=〝逆上陸〟のフジアルテ=人材サービス業で法人設立

「想像以上の需要があった」と話す宮崎社長。2月の新事務所設立記念パーティーにて

 昨年中旬からブラジルで人材紹介業務を開始したフジアルテ株式会社が1月、サンパウロ市にパウリスタ事務所を開設した。過去8万人もの在日ブラジル人を雇用した経験を生かし日本企業の進出、事業展開において避けて通れない人材面のサービスを行う。ブラジル日本商工会議所関係者によると日本企業相手の人材派遣会社が現地法人を立ち上げたことは「聞いたことが無い」という。日本企業の進出にともなう人材需要の高まりを物語っている例といえる。
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 フジアルテ・ド・ブラジルの宮崎健次郎代表取締役によると、日本側で1990年頃から日系ブラジル人を雇用し始め、2008年の金融危機以前5千人いた登録数の3分の2をブラジル人が占めていた。
 危機後、全体数が2560人程まで減ったが、現在でもその比率は変わらない。同社が「日系人8万人のデータベースを持つ」と豪語するゆえんだ。日系人の帰伯と、日系企業の進出傾向の二つが重なりビジネスチャンスが醸成された。
 日本では製造業を中心に派遣を行ったが、ブラジルでは経理、総務、エンジニア等の部門で働く人材を進出年数の長い企業から準備段階の企業、一部団体に紹介している。
 また、日本側で企画された1月のグローバル人材フォーラム「日本企業のブラジル進出と日系人の活用」では、350社の定員に450社が参加申込みをしたとして、ブラジル進出の注目度の高まりを説明。同様のセミナーを5月に大阪でも開催する予定だという。
 セミナーに出席した企業が実際に視察に訪れるケースがあり、そこで通訳等のサービスを提供している。
 ブラジル進出後の印象について宮崎社長は「訪問する所、所で人材が不足していると聞く。予想以上に企業側の需要があった」と説明する。
 ブラジル側では現在約350人が登録。日系進出企業が400社未満と言われる中で、現在約20人が実際に働き、他に30社ほどから依頼があるという。
 人材育成の面では日本語教育に投資を行う。ブラジル人学生を対象に日本で語学学習、工場研修を行い現地法人へ紹介を図るプログラムも今年中に開始する考えで、日本語教育を行う「公文」との業務提携の話も進んでいるという。
 訪日就労の派遣一辺倒だったブラジルに、日系企業の進出の波に乗って日本から人材サービス企業が〃逆上陸〃するという、これまでにない現象が起きている。(つづく、宇野秀郎記者)