ニッケイ新聞 2011年5月17日付け
ジウマ政権の要の一人とされるアントニオ・パロッシ官房長官が、就任直前の2010年11月にサンパウロ市パウリスタ地区に660万レアルのアパートを購入するなど、過去4年間でその資産を20倍に増やしたと15日付フォーリャ紙が報道。野党側は同氏から納得のいく説明がなければ、検察庁に訴える姿勢も見せている。
パロッシ官房長官が660万レアルのアパートを購入したのは、2010年11月16日。その前年も、2006年設立のコンサルタント会社事務所として88万2千レアルの物件を購入しており、これら2件の物件だけで、06年下議選出馬時に登録した資産の20倍にあたるという。
ジウマ大統領の選挙参謀を務め、現政権では大統領の右腕とされる官房長官職に就いたパロッシ氏は、第1期ルーラ政権でも財務相を務めたが、使用人の銀行口座の違法開示事件で、2006年3月に辞任した。
その直後の下議選に出馬したパロッシ氏は、家や車その他の資産が29万5千レアル余りと、同年7月に選挙裁判所に届け出た。この資産額をインフレ調整すると37万5千レアル弱で、先の物件2件を加えた試算は約20倍になる。
フォーリャ紙には、1998年に届けられた資産額は12万4千レアル余り(インフレ調整後は27万7千レアル余り)ともあるが、この間の資産はここ4年間のような増え方はしていない。
官房長官からは、夫婦名義で06年に設立したコンサルタント会社の収益で購入したとの説明があったが、顧客その他の情報は明らかにされていない上、同社は名称を数回変え、業務内容も、経済関係コンサルタントから不動産関係に変更。会社名義で登記した先の2軒の不動産以外は管理しておらず、登記上は昨年12月で業務を終えた事になっている。
一方、下議職にあった4年間の収入は概算97万4千レアルで、不動産購入額には届かない上、09年購入の88万2千レアルの事務所も、会社の資産を5万2千レアルと上方修正した8日後に入手など、届けられた資産と実際の金の動きがつりあわない。
ジウマ大統領には任命前に会社を持っている事なども報告してあったといい、ミシェル・テメル副大統領も、官房長官の申告には虚偽はないと信じていると発言したと16日付エスタード紙にはあるが、06年の銀行口座違法開示事件も含め、パロッシ氏の行動に不信感を募らせる野党側は、官房長官の口座や所得税申告などの情報開示ときちんとした説明を要求。
納得のいく説明がなければ17日に検察に訴えると発言している政党もあるが、メンサロン事件などの例から見て、政治家と金の癒着解明は一筋縄では行かぬ事だろう。