ニッケイ新聞 2011年5月17日付け
借金王国・ニッポンについては、これまでにも何回か取り上げた。そして—今年もまた国債や借入金が増えて924兆円にもなり、日本の歴史上最悪の記録を更新というのは、何とも寂しい。兆などと言われても、安月給派にはピンと来ないが、国民1人当たりにすると、一金722万円也の借金を背負っているのだから、これはかなり大きな負担であり、子や孫に「ちゃんと返しておくれよ」と言い遺すのは、いささか心苦しい▼この借金政策は、民主党政権だけではなく、自民党の責任でもあるのだが、健全な財政を目指す本格的な取り組みを急がないと「ニッポン破産」の悲劇—いや喜劇が起こってもちっとも不思議はない。ロシアやアルゼンチンのような「国債デフォルト」宣言はないだろうが、最悪の場合は日銀の国債直接買い取りになるかもしれない。それよりも、借金をゼロにする政治こそが望ましい▼日本の財政悪化に関しては、IMFなどの国際金融機関が、強い警告を発しているし、米の格付け会社も、日本の国債の安全度を低くし、悪い方向に進んでいるとしている。もう—「国債は安全」ではなく、リスクもあるの認識になりつつある▼欧州でもギリシャの破産やポルトガルも危機に陥り、ジウマ大統領が支援を約したが、こんな金融危機は、まだ広がる可能性が高いし、世界的な視野で見ないと、日本の健全な財政への歩みは極めて難しい。先頃の急激な円高にしても、G8の財務会議が日本支援を決議し大荒れを防いだけれども、借金王国からの脱出も国際的な取り組みが大切なのは言うまでもない。(遯)