ニッケイ新聞 2011年5月25日付け
サンパウロ州検察局が同州カンピーナス市の上下水道工事などを巡り、市長夫人らも絡む汚職を摘発した事で、市議会が真相解明のための委員会設置を決めたと24日付伯字紙が報じた。同委員会は、市要職者も巻き込んだ汚職への市長の関与についても尋問する意向で、市民からは市長罷免の声も出始めている。
サンパウロ州内9つの市とトカンチンス州で起きた汚職事件の捜査を担当していたサンパウロ州検察局が、捜査で得た供述などを基に、カンピーナス市の汚職事件関係者の逮捕に踏み切ったのは20日朝。同日中に11人が逮捕され、スペイン旅行中の副市長の弁明も報道される中、同市市長の責任を問う声が高まっている。
サンパウロ州検察局がカンピーナス市での汚職事件摘発に至ったのは、サンパウロ州とトカンチンス州での6億1500万レアルが絡む汚職事件関係者の供述で、上下水道工事などを担当するSanasaでも不正入札などが行われていた事が判明したため。
20日の捜索では、市職員や企業家ら20人の逮捕令状を手にした検察官や警察官らが11人を逮捕、残る9人についても、継続して行方を追っている。
Sanasaを巡る汚職捜査は2009年から始まったもので、逮捕者の中には、リカルド・カンヂア元市企画局幹部やSenasaのアウレリオ・カンセ・ジュニオル技術担当理事、建設会社カマルゴ・コレイア職員などが含まれている。
旅行中のデメトゥリオ・ヴィラグラ副市長始め、フランシスコ・デ・ラゴス通信局長、カルロス・エンリッケ・ピント保安局長などは逮捕を免れたが、家宅捜査ではコンピューターや現金、拳銃なども押収された。
一方、事件への関与がいわれながら逮捕を免れた人物の筆頭は、組織の首領とされ、市長秘書室長も務めるロゼリイ・ナシム・J・サントス市長夫人。エリオ・デ・オリヴェイラ・サントス市長と共に逮捕を免れるための暫定令を申請していたため、摘発時も連行されずにすんだが、市民からの圧力も受けた市議会は23日、真相解明のための委員会設置を決め、市長らも召喚する意向。内容次第で市長罷免請求となる可能性は高い。
24日付エスタード紙によると、情報提供者はSanasa関連の事業担当企業Constranのジョゼ・カルロス・C・M・ブンライ元参事で、検察局調書にはルーラ前大統領と懇意の同氏が前大統領を守るために供述との記載もある。
また、エリオ市長も前大統領と関係が深く、近親者らと共にマット・グロッソ州から転入後に同市長に就任。今回摘発された汚職事件で最も恩恵を受けていたのは市長との声もある中、検察がどう動くかは、市議会設置の委員会での審議の行方次第となりそうだ。