ニッケイ新聞 2011年5月25日付け
「ガンバレ、日本」——。サンパウロ州の公立校で日本語を学ぶ生徒たち105人が、震災被災地の子供に日本語でメッセージを寄せ、19日にサンパウロ市北部の学校で行なわれた記念式典で在聖総領事館の小林雅彦首席領事に手渡した。生徒代表の金城カミラさんは、「原爆や数回の大地震など、苦難に遭うたび立ち直ってきた強い国、日本のために祈り続けたい」と日本語でスピーチした。復興の願いを込め、ダルマがデザインされたカードは、サンパウロ州教育長官からのメッセージとともに、領事館を通じて日本の文部科学省へ送られる。
ジェラルド・アルキミンサンパウロ州知事が「義捐金を送るだけではなく、別の形で日本の被災地の人々を励ましたい」と教育局にアイデアを求めたことから企画が始まった。
日本語を学ぶ生徒らが、州内公立校で学ぶ約450万人の生徒を代表し、「友情のカード」を送ることが決まり、日野寛幸・同局理事が中心となってデザインが考案された。
表面にはダルマの絵を印刷、裏面に自由に絵とメッセージを書くスペースがある。
「ダルマは倒れても立ち上がる。願い事ができたときに片目を墨で塗り、達成したらもう一方の目を塗る風習があることを生徒に伝えた。日本の子供たちに右目を塗りつぶしてもらえたら」(日野理事)
昇る太陽、千羽鶴、立ち並ぶ建物の絵などとともに、生徒らは自由にメッセージを書き込んだ。
式典が行われたプロフェッソール・ラエルテ・ラモス・デ・カルバーリョ校のヴィットル君(17)は、日本の国旗と4つ葉のクローバーを描いた。
「新聞で状況を知るだけで何もできないが、必ずいいことが起こるから頑張ってほしい、という思いを表現した」と話す。
同校のマイアーナさん(15)は、「日本はこれまで数々の困難を乗り越えてきた国。必ず立ち上がってほしいと思う」と笑顔を見せる。
小林首席領事は、「大変感動した。被災地は少しずつだが復興に向かっている。日本は一段と素晴らしい国になると信じている」と感動の面持ちで話したうえで、「国内の多くの団体から送られた義捐金に深く感謝したい」と謝辞を述べた。
最後にサンパウロ州教育局のジョアン・カルドーゾ副長官が「日本は必ずいつか立ち直ると信じている」と述べ、式典を締めくくった。