ニッケイ新聞 2011年5月27日付け
今月13日にサンパウロ市内のホテルで行われたブラジル日本商工会議所(近藤正樹会頭)の定例昼食会で、マット・グロッソ州のフランシスコ・ダウトロ副知事が講演を行った。 ダウトロ副知事は元弁護士で、クイアバ市会議員、州農業局長などを歴任。講演前に、伊藤友久会頭代行がポ語で歓迎挨拶を行った。
同氏はまず、麻州の農業、林業、畜産業などの生産力が飛躍的に伸びていることを説明し、「我が州は食糧の宝庫」とアピールした。
政府主導で農業科学の発展、人材育成に取り組んだ結果で、「国内外で幅広いアグリビジネスが展開できる」と話した。
特に大豆、綿花などで同州はブラジル内で生産量一位であることを挙げたうえで、「さらなる品質向上を目指す」とした。
同州は南米大陸の中央に位置する。港までの輸送費と時間については、「現在ボリビアを経由して太平洋から出荷するルートの整備を計画している」と話した。
ロジスティックの一元化は官民一体で推進しており、物流システムが改善されれば国際競争力が上がると強調。
畜産業に関しては、現在2800万頭の牛が飼育されておりブラジルで一位を誇っているが、95%が放牧型で非効率なため、1ヘクタールで1〜5頭を飼育することで余った土地を農業へ充て、さらなる生産力拡大を考えているという。
関連する食肉加工業についても発展の兆しがあり、現在、サディアなど大手食肉メーカーの工場が進出していることにも触れた。
また麻州でもエタノール生産に取り組んでいるという。加工業者も数多く進出しており、畜産業の効率化で余る土地をサトウキビ生産にも充て、「将来的に国外への輸出も可能にすべく、州内での研究開発に関する提携先を求めている」と話した。
そのほか、アマゾン、パンタナール、セラードという世界中唯一無二の豊かな自然環境への観光誘致、豊富な水資源によるミネラルウォーターの生産・輸出、ごみ発電、鉱物資源、充実を図っている都市部のインフラや工業への投資、有機食料の研究・開発など、あらゆる投資の可能性を秘めていると説明し、講演を終えた。