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ベロ・モンテ巡る確執再び=許可は出すなと州検察=総弁護庁は審議会に申入れ=コンソーシアムも解体か

ニッケイ新聞 2011年5月28日付け

 2010年4月の入札決行後も抗議行動が続いているパラー州アウタミラのベロ・モンテ水力発電所建設問題で、連邦検察庁パラー支部が、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)に環境ライセンスを出さないよう要請したと27日付エスタード紙が報じた。コンソーシアムを組んだ企業の脱退申請も出る中、Ibamaの出方が注目されている。

 エレトロブラス技師襲撃事件などを経て、難産の末成立した入札後も、現場を取り仕切る検察庁支部が環境ライセンスを出さないよう動き出した事で、ベロ・モンテ発電所建設は新たな問題に直面する事となった。
 パラー州シングー川に建設されているベロ・モンテ発電所は、11200メガワットの発電能力を持ち、国内ではイタイプーに次ぐ規模の水力発電所となる予定だが、それだけに、ダムの底に沈む自然林や先住民保護区も広範囲に及ぶ。
 そのため、流域先住民や環境保護を訴える人々からの反対は大きく、公聴会の席に乗り込んだ先住民がエレトロブラスの技師に山刀で切り付けた事件始め、国内外の著名人による反対発言、米州機構からの工事中止要請など、建設の是非を問う声はまだ続いている。
 このような地域住民や環境保護者達の声を間近に見聞きしている検察庁パラー支部は、昨年の入札前にも先住民の権利保護と環境許可上の問題の2点で入札停止を申請。同州地裁はこの申請を認めて入札中止を言い渡したが、その裁定は、AGUがブラジリア地裁に上告して覆している。
 パラー地裁裁定を3度覆して実施された入札はケイロス・ガウヴォンら9社によるコンソーシアムが落札したが、今年2月にベルチンが脱退を表明。今月20日以降、ガウヴォン・エンジェニャリア、セルヴェング、セテンコも相次いで脱退を申入れ、他の企業の脱退も確実視されている。
 コンソーシアムを取り仕切るノルテ・エネルジアによれば、新規加入を希望する企業があり、脱退企業も建設そのものには加わるから心配無用というが、そんな中、同社提出の報告書は環境や地域社会への影響緩和の具体策に欠け、103項目中59%が未解決と判断した検察が、Ibamaに対し、具体的解決案が出揃うまではライセンスを出さないよう求めた。
 この要請は政府をいらだたせ、総弁護庁(AGU)は即座に検察庁審議会にパラー支部職員の行動が適切か否か審査するよう申し入れた。
 エジソン・ロボン鉱動相は環境ライセンスは6月に出ると発言しているが、環境省やIbamaは、環境ライセンスの審査はIbamaが行うもので鉱動相発言には左右されないとしている。