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不法伐採告発で夫婦殺害=大土地所有者から脅迫も=恐怖感じる被害者家族

ニッケイ新聞 2011年5月28日付け

 24日にパラー州で殺害された環境保護活動家夫妻の遺族らは、同じ農村部に住み続けることに恐怖を感じていると述べていると27日付フォーリャ紙が報じている。
 パラー州ノヴァ・イピシュナ市郊外の定住地に住んでいた環境保護活動家、ジョゼ・クラウジオ・リベイロ・ダ・シウヴァ氏(54)と妻のマリア・ド・エスピリトサント氏(53)は24日早朝、道路で待ち伏せていた2人組によって射殺された。
 シウヴァ氏の母親と3人の兄弟は同じ定住地内に住んでおり、妹のクラウデニー・リベイロ・ドス・サントスさん(35)は、「私は彼らが行ってきた環境保護活動を続けていきたいと思っているが、恐怖心にかられる時がある」と述べている。彼らは環境に優しいナッツ、果物、およびゴムの栽培で生計を立てている。
 不法伐採告発などで製材業者らに嫌われている環境保護活動家は多く、国家農業治安判事の報告書によると、同州では2001年〜10年にかけて環境保護に関する争いで58人が殺害されており、その他62件の殺人事件は調査中という。
 ブラジルではこれまでにも有名な環境保護活動家の殺害事件が起きており、その1人はシコ・メンデスの愛称で知られるフランシスコ・アウヴェス・メンデス・フィーリョ氏。メンデス氏はブラジルのゴム樹液採取者であり、ゴム樹液採取人組合を結成して、ブラジルにおける熱帯雨林保護活動を展開した人物。1988年に北西部のアクレ州で、大土地所有者の放った刺客により暗殺されている。
 もう1人はアメリカ人でブラジルに帰化したドロシー・スタング宣教師で、同宣教師は40年間、アマゾン地区の農民保護のための農地改革や環境保全、特に森林伐採反対運動の急先鋒となって働いていた。彼女の活動は国外からも高く評価されていたが、2005年2月12日、大土地所有者に雇われた2人組の「殺し屋」によって殺害されている。