ニッケイ新聞 2011年6月7日付け
5月15日付フォーリャ紙が4年で資産が20倍にと報じて以来、釈明が求められていたパロッシ官房長官が遂にインタビューを行ったが、政局の混乱解消には不十分で、官房長官の首挿げ替えの可能性がますます強まってきたと4〜6日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領から直々に説明をと要請されたパロッシ官房長官が、重い腰を上げて応じたインタビューは、TVのジョルナルナシオナルとフォーリャ紙に対するもの。顧客名などを伏せたままの釈明は、周囲を納得させるには不十分で、長官退陣を匂わせる動きはますます強まっている。
労働者党(PT)関係者らも遅きに失したと指摘したパロッシ氏の釈明は、経済関係のコンサルタント会社として機能していた頃の〃プロジェクト社〃は、所得税などはきちんと納め、法的にも何らやましいところはないが、顧客名を明かす事は出来ないと、切り口の悪さが目に付いた。
大統領選の結果が出、組閣作業中の2010年11、12月の収益急増も、コンサルタント業務を閉じるに当たって顧客からの支払いが集中したためと説明。公共事業に関わる企業への助言や支援は行っておらず、元閣僚や下議といった立場を利用して便宜を図った事もないと弁明した。
与党側関係者からは、事実無根の疑惑である事がはっきりしたとの発言もあったが、釈明と前後し、パロッシ氏が住んでいるアパートは、共同経営者が存在さえ知らないまま名前を使われ、偽の住所で登録された不動産業者の所有物という週刊誌のすっぱ抜きの記事が出るなど、官房長官の立場は悪くなるばかり。
3日の釈明内容に不満を覚えつつも、パロッシ氏が「大統領は顧客名を知らされていない」と語った事で安堵したジウマ大統領は、週末は官邸に篭り、ルーラ前大統領と電話会談を行うなど、善後策を練っていたようで、後任は、ペトロブラスのマリア・ダ・グラッサ・フォステル理事やミリマン・ベルキオル企画相、パウロ・ベルナルド通信相ではといった情報が飛び交っている。
ミシェル・テメル副大統領が所属する民主運動党(PMDB)は、官房長官の影響力低下は絶好の機会とばかりに、局長級の官僚職獲得や議会運営での影響力伸張を狙っており、現政権では絶大ともいえた大統領と官房長官の鶴の一声で動かない部分が増えている。
大統領としては、検察庁が官房長官を無罪とみなすか起訴するかの結論を出した後にパロッシ氏の処遇を明らかにする意向だが、大統領に近い人々の間には、パロッシ氏退陣まではあと数日との見方が広がっている。