ニッケイ新聞 2011年6月9日付け
世界で最も偉大なサッカー選手の1人とされ、『怪物』とまで呼ばれたロナウド(34)が、7日にサンパウロ市パカエンブー競技場で行われたルーマニアとの親善試合にブラジル代表(セレソン)として出場し、引退の花道を飾ったと8日付各伯紙が報じている。
今年2月、甲状腺機能低下症や度重なるケガのため引退を発表したロナウドは、前半30分からフレッジと交代し、ロスタイム込みで17分間出場した。フィールドではボールに8回触れ、5回出したパスの内4つは成功。ネイマールとロビーニョからのパスで3度のゴールチャンスもあったが、相手側キーパーに好守され、得点を入れることは出来なかった。
ローカールームではユニフォームのシャツをズボンの中に入れるのに苦労する場面も見られたが、初めて代表として試合に出た時と同じモデルで作られた特注のシューズとワールドカップ通算最多の15得点を挙げた思い出の代表ユニフォームに身を包み、フィールドに登場した。
引退試合には、最高800レアルの入場料や気温15度という悪条件の夜、決して強くないルーマニア相手という親善試合にもかかわらず3万人のファンが詰めかけ、ブラジル代表として約9千分間を戦い、4度のワールドカップ出場、67得点といった輝かしい記録を持つ選手を称えた。
前半終了とともに交代したロナウドはハーフタイムの引退セレモニーで「ファンの皆様がして下さったことには本当に感謝している。あるがままの僕を受け入れ、僕が泣けば一緒に泣いてくれ、僕が笑えば笑ってくれた。3度のチャンスがあったけど、最後の試合でゴールを決められなかった事は許してほしい」と挨拶。2人の息子を連れて競技場を一周した彼には、観衆から大きな拍手が送られた。
引退試合の後、8日付フォーリャ紙は、セレソンにロナウドのようなフォワード(攻撃)の選手が不足していると記している。最もロナウドに近づいた選手としてアドリアノとルイス・ファビアーノの名前が挙げられているが、2人とも今はケガでボールからは離れている。
同じポジションではプレーしていないが、ロナウド自身は、ネイマール(19)が未来のエースストライカーとして背番号「9」を継ぐのではないかと指摘している。