ニッケイ新聞 2011年6月11日付け
1970年代にイタリアで左派活動家として殺人事件などに関係したとして、本国への身柄送還が問題となっていたセーザル・バチスチ氏について、最高裁判所が送還しないと決めたため、イタリアが国際法廷に持ち込む姿勢を見せている。
2007年にパスポート偽造などの罪に問われて逮捕されたバチスチ氏の扱いを巡っては、殺人犯とみなすイタリアと、政治犯とみなすブラジルとの間でやり取りが交わされてきたが、最高裁が一度は送還を決めた後、ルーラ前大統領が送還しないと決断し、そのまま、国内抑留となっていた。
8日の最高裁判断は、大統領が最終決定権を持つという考えによるもので、バチスチ氏は直ちに牢からも釈放された上、永住ビザを申請し、書物も著すつもりだと発言。
これに対し、イタリア側は、殺害された遺族らの悲しみや苦しみを無視しただけではなく、本国が断罪した犯罪者の引き渡しを拒む行為は、国際法にも反するものだと抗議。9日には駐伯大使を呼び戻し、国際法廷に訴えるとの姿勢を明らかにしている。