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バチスチ亡命容認=伯政府引き渡し拒否を維持=伊が和解委員会設置を要求=ビーチバレー世界選手権にも影響

ニッケイ新聞 2011年6月18日付け

 イタリア政府は17日、元政治犯ケーザル・バチスチ容疑者の身柄引き渡しを拒否した件で、ブラジル政府に対して二国間協定による真実和解委員会の常設を要求したと同日付G1サイトが報じている。
 1954年にイタリアとブラジル間で結ばれた条約で定められた委員会を実際に機能させることで考えられる解決法としては、外交上での解決、和解のプロセスの実施、または国際司法裁判所への持ち込みと三つの選択肢が上げられている。
 連邦最高裁判所(STF)は8日、ルーラ前大統領が2010年12月31日にとったバチスチ容疑者の身柄引き渡し拒否の決断を維持することを決めており、これに対してイタリアのフランコ・フラティニ外相は10日、ブラジリアのイタリア大使を話し合いのため一時的に呼び戻している。
 和解委員会は4カ月かけて二国間協議を行う予定で、ブラジル政府が身柄引き渡しを拒否し続けた場合、イタリア政府はブラジル政府を国際司法裁判所へ訴える可能性がある。
 一方、同日付エスタード紙ではローマで行われているビーチバレー世界選手権でのブラジルとデンマーク代表との試合中、今回の件をめぐる抗議の意味で観客席からオレンジなどが投げ入れられるという事件が起きたと報じている。
 第1、第2セット間の休憩タイム中、ブラジル政府の決断に反対する観客達は、コートをめがけ、オレンジなどを投げ入れた。
 世界で唯一同大会で2度優勝している2人1組のブラジル代表、エマヌエル選手とアリソン選手は衝撃を受けたと話しており、「何を意味する行為か理解しようとしたが、試合が終わり、バチスチの件に関する抗議だと聞くまでは分からなかった」と述べている。
 抗議は2人の試合には影響を及ばさず、2対1でブラジル代表が試合を制している。
 エマヌエル選手は「人生で初めての出来事だった。少なくとも暴力的なものでなくてよかった」と述べており、アリソン選手は「私たちめがけて投げたのではなく、単にコートの中に投げ入れ、注意をひこうとしただけ」と説明した後、「国際的な政治問題だが、それによってスポーツ界にまで影響が出るのは残念だ」と述べている。