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月収39レ以下は1千万人=自治体間格差減っても=生活基盤さえ整わぬ家庭=貧困に伴う病気克服も課題

ニッケイ新聞 2011年6月21日付け

 2010年の国勢調査の結果、ここ10年間で住民一人当たりの月収で見た自治体や地方間格差は縮まったものの、月収39レアル以下の極貧中の極貧者は1050万人もいる事が判明したと19日付伯字紙が報じた。

 ジウマ政権の優先課題の一つは極貧撲滅だが、5月に発表された月収70レアル以下の極貧者1626万7千人中、1050万人は、無収入か月収1〜39レアル、電気や水道その他の生活基盤にも事欠くという。
 2000年度の人間開発指数(HDI)が国内最低だったペルナンブコ州マナリは、国内最低の地位こそ他市に譲ったものの、ジョアン・J・ドス・アンジョスさんとアナ・P・ダ・コンセイソンさん夫妻の様に、生後3カ月で母乳を飲む子供以外の家族5人が食物を口にするのは、隣人から何かもらった時だけという家庭は少なくない。
 ガスレンジ(フォゴン)があれば幸せと語る主婦のマリア・ダ・パス・ダ・コンセイソンさんの場合、冷蔵庫は入れる物がないから無用の長物で贅沢品だという。
 こんな実話は、ブラジル一貧乏とされた北東伯だけの話ではない。
 実は、ブラジル一裕福とされるサンパウロ州でさえ、月収70レアル以下の極貧者は108万人超で、平均月収は43・08レアル。サンパウロ市では、月収70レアル以下の極貧者は人口の0・9%にあたる10万1千人で、この比率は国内最高だという。
 大サンパウロ市圏内では、ノルウェー並みのサンカエタノと、アルバニアやパナマ奥地並みのフランシスコ・モラットやエンブ・グアスの様な格差ありとの報道は12日付フォーリャ紙だが、19日付エスタード紙によれば、サンパウロ州サンジョゼ・ド・リオ・プレットも、平均所得1161・86レアルに対し、極貧者の月収は平均18・83レアルと格差が大きい。
 一方、サンパウロ州の10年間の所得の伸びはインフレ調整後の数字で3%で、46%伸びたマラニョン州などの北東伯との格差は縮まっている。
 それでも、月収70レアル以下の極貧最多はバイア州の240万人で州人口の17・7%。2位のマラニョン州は169万人だが、人口比25・7%は国内一。セアラ、パラー、ペルナンブコ、サンパウロ州までの6州は極貧者が100万人以上おり、6州総計は全体の58%にあたる940万人。
 極貧者最少は連邦直轄区の4万6588人だが、極貧者の平均月収は43・87レアルで他州と大差がない。
 鉛筆を持つより鍬という農業従事者の様に月収だけで測れない極貧者もいるが、上下水道などの基幹設備もなく、生活環境が整わない所では、誕生日を記した書類さえ持たない人や教育も満足に受けられない人、結核や梅毒、デング熱など、貧困故に克服困難な病気で悩む人も稀ではない。