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国民の借金額過去最高に=4月総額は6530億レ=個人所得に占める割合増加=消費加熱のマイナス面現る

ニッケイ新聞 2011年6月28日付け

 所得向上に基づく国内消費に支えられ、国際的な金融危機をいち早く乗越えたとされるブラジルで、国民の借金は年々膨らみ、4月には6530億レアルに達したと27日付エスタード紙が報じた。個人所得に占める借金の割合は40%で、債務不履行の増加を懸念する声も高まってきている。

 国際的な金融危機後も所得向上に裏打ちされた国内消費が好調で、経済基本金利の低下に乗じた個人融資利用も順調とされていたブラジルで、消費加熱のマイナス面が表面化してきている。
 2010年は、景気の回復とその後の成長は順調で、個人融資を利用した家屋や自家用車購入なども増えていると好況を誇示するような報道が続いた。ところが今年は、インフレ高進に伴い、抑制策としての基本金利引上げや融資引き締めなどが続き、借金額は過去最高で、債務不履行増加が懸念されると報じられたのだから気がかりだ。
 国民の借金総額は、2009年4月の4850億レアル以来、5240億レアル、613億レアル、653億レアルと毎年膨れ上がっており、年間所得に占める割合も、09年の35%から、36%、39%、40%と徐々に増加。
 昨年末から4月にかけての個人融資の利用は減少傾向にあるが、特別小切手の利用が6・2%、クレジットカードの利用が17%増加している。これは借金の返済が困難になって、金の工面をするためにこれらの手段を利用する人が増えた証拠だと見る専門家からは、金利引上げで返済額が増せば、債務不履行も更に増えるとの声が強まっている。
 借金の返済が3カ月以上遅れる債務不履行は、2010年末に5・7%を記録。4月現在の数字は6・1%で大きな変化はないが、15〜90日遅れている件数は90日以上遅れている件数を上回り、債務不履行予備軍は増加しているため、12月の債務不履行は7・2%に達するとさえ見られている。
 銀行その他の金融機関が通常は年末に行う借金再分割などのキャンペーンを6月に前倒しし、貸付分の回収を図っているのも、債務不履行増加を懸念する故。銀行などが借金を即座に返すよう命じた場合は、4・8カ月分の給与を丸々返上する必要があるという事態は楽観を許さない。
 27日付各紙サイトでは、金融取引税引上げ後は外国旅行時の現金払いが増え、クレジットカードの利用が減っていると報道。インターネット使用料や子供の月謝、ローン支払いなどで毎月出て行く額を給与の何%程度に抑えるのが適正かは収入額によっても違ってくるが、基本金利の引上げで借金返済時の利息も増える中、足りない分は小切手やカードでと安易に考え、墓穴を広げる事は避ける方が賢明だ。