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漁師6人乗せた船遭難=18日間の漂流後に救出=飢えと渇きに耐え無事上陸

ニッケイ新聞 2011年6月30日付け

 5月27日にリオ州の港を出た後、6月6日から連絡が途絶え、行方不明となっていた漁船が27日、サンタカタリーナ州沖約220キロの海上を漂流していたところを発見され、イタリア船籍のタンカー船が遭難者6人を救助したと29日付エスタード紙などが報じている。
 発見された漁船は5月27日にリオ州カボ・フリオ市の港から出港し、海岸から200キロ程離れた海域で漁業を行った後、7月9日に同港に戻る予定だったが、8、9日に発生した嵐の影響で航行不能となり、救助される27日まで約18日間遭難していた。
 最後に漁船から連絡が入ったのは6月6日で、帰港予定日の9日を過ぎても戻ってこないため、10日に海軍が捜索を開始したが、見つからないため、15日には捜索が打ち切られていた。
 漁師6人を救助したのは乗員20人のイタリア船籍のタンカー船『マロラ』号で、リオ・グランデ・ド・スル州から出港後に海軍から連絡を受けた船長のワルター・ボンバルダさんは、船の進路を変えて遭難していた6人を救助、28日にリオ州リオ・ニテロイ橋付近の海軍基地に到着した。
 上陸後の漁師6人は、2人ずつそれぞれ違った病院に搬送された。市保健局によると6人とも脱水症状を起こしていたがが、全員無事だという。
 船内には15日分の食料品しか積まれておらず、最年少のマイコン・サントスさん(24)は、「何も食べる物が無かった。生き続けるために尿を飲む必要もあった」と述べ、船員全員が最後まで希望を捨てずに飢えと渇きに耐えたと話している。最年長のジルネイ・ダ・シルバさん(56)は、「とても寒かった。すこしでも温まるために船の下部で過ごした」と述べている。
 海流に乗って500キロ以上を漂流した遭難船は全長12mのトロール船で、海釣り用の機材を装備していた。所有者のペドロ・アラウジョさん(50)は「彼らは観測機と無線二つを持っていたが、電気系統で問題が発生して遭難したのではないか」と述べており、問題解明を待っている。海軍は漁船の書類関係などは規定に従っていることを明らかにしている。

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