ニッケイ新聞 2011年6月30日付け
農業者として座視できない—。セアーザ(サンパウロ州食糧配給センター)で野菜卸売店「5ESTRELAS」を経営する古賀オズワルドさん(51、二世)が移民の日である6月18日〜7月31日まで『SOSジャパンキャンペーン』として、人参の収益の1%を義捐金に送る活動を行なっている。被災地で営農ができない農業者の状況に心を痛める古賀さんは、「少しでも復興の手助けになれば」とニッケイ新聞の取材に答えている。
朝早くから活気溢れるセアーザの一角に「5ESTRELAS」はある。積み上げられた人参を詰めた箱には、「SOSジャパン」のメッセージとブラジルと日本の旗。そして、生産者であるMAEDA農場のロゴマークが並ぶ。
今回のキャンペーンを思い立った古賀さんは、取引先であり父親の代から親交があるミナス州サンタジュリアーナで人参栽培を営む前田タカオさん(25、三世)に持ちかけた。「二つ返事で承諾してくれた」と喜ぶ。
義捐金額は売り上げの1%。同農場から毎日2500箱が入荷される。1箱(20キロ)が15レアル前後で販売されることから、1日あたり375レアルが義捐金に充てられることになる。7月末で締め切り、在サンパウロ日本国総領事館へ委託する予定だ。
津波で田畑に被害を受けたり、原発による風評被害を含む影響が日本の農業者を襲っているニュースに心を痛めてきた古賀さん。
「同じ農業者として痛いほど気持ちが分かる。ある日突然、農地を耕せなくなることは想像を絶する」と表情を曇らせながら、「一日も早く元の姿に戻ってくれれば」と〃母国〃への強い思いも覗かせる。
SINCAESP(サンパウロ配給センター業者組合)の井上久弘事務局長は、「自分が出来ることから協力していく姿勢は素晴らしい。キャンペーンに協力し、真似する人や業者が益々増えてくれたら」と組合としても応援する姿勢を見せている。