サンパウロ市南部で人質事件=発砲で警官1人が負傷=自営業倒産による復讐が目的
ニッケイ新聞 2011年7月1日付け
サンパウロ市南部のイタイン・ビビ区の洋服店で6月29日正午頃、拳銃を持って押し入った男性が店員や顧客15人を人質にとり、警官1人を負傷させた後、自殺したと6月30日付エスタード紙などが報じている。
被害に遭ったのはプロフェッソール・ジョアン・ブリット通りにあるブランド店『プラネット・ガールス』の卸売り店で、昼過ぎに、ミナス・ジェライス州で洋服店を営んでいたペドロ・ジョルジ・サライヴァ容疑者(41)が2丁の拳銃を手に店の中に押し入った。
店に居た店員や顧客を人質にした容疑者は「おい、俺のこと覚えているかい? 復讐するために戻ってきたぜ」と述べている。被害者らの証言によると、彼はかなり汗をかき、手はずっと震えていたという。
サライヴァ容疑者は犯行中、常に1人の女性店員を楯として使っており、同店員は「お前を殺して俺も死ぬと言われ、とても怖かった」と述べている。
警察が現場へ到着すると同時にサライヴァ容疑者は発砲を始め、交渉にあたった警官1人が腹部を撃たれたが、防弾チョッキを着ていたため命に別状はなかった。
人質らは自力で徐々に逃げ出すことに成功しており、人質が残り一人となった時点でサライヴァ容疑者は事務室に2人で閉じこもったが、最後の人質も隙を見て逃げ出すことに成功した。1人となったサライヴァ容疑者は扉を家具などで閉じ、警察の侵入を塞いだ後、自らアゴから頭部に向け発砲し自殺している。
サライヴァ容疑者の妻アドリアナさんによると、夫婦は9年にわたり同ブランドの服を小売販売していたが、2009年、何の理由もなく販売権をなくし、店を閉めることになったという。
サライヴァ容疑者は今年初めにも同店に来て警備員ともみ合いになっており、その時は、後で復讐しに来ると言い放って帰っていた。
自殺する前、サライヴァ容疑者は14歳になる子供に携帯電話から電話をかけており、「心配しなくても良いよ、お父さんはお前のこと愛している」と述べている。
『プラネット・ガールス』は今回の出来事を嘆き、文書を発表。サライヴァ容疑者が元顧客だったことを認めた。また、詳しい調査のため、店内40のカメラの映像を第15警察署に届けるという。