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「来週一杯で全額払う」=百周年着物未払い問題=蛯原さんその後釈明へ

ニッケイ新聞 2011年7月1日付け

 【既報関連】日本移民百周年のサンパウロ市式典で1200人によって踊られた記念音頭「海を渡って百周年」で使われた日本製着物と帯代金のうち161万2900円が未払いになっている問題で、着物の発注者である蛯原忠男さんは、「来週一杯で全額払い終える。3カ所から払い込んでもらうよう、もう段取りはした」と近況を説明し、「払い終えた後、先方にお詫びを兼ねて電話をし、あいさつをしたいと思っている」とのべた。
 これは07年末に東京都台東区にある呉服屋「やまとみ」(広瀬五郎社長)に注文し、08年の式典に取り寄せたもの。着物(卸値1万円)と帯(同4千円)を288人分売却し、送料として計15万6100円計上され、総額は334万8100円。うち173万5200円がすでに支払済みで、未払い分が161万2900円だ。
 着物は反物として届いたために当地で縫い賃100レアルが別途かかり、草履、綾竹を合計すると500レアル近い。ただし、蛯原さんが受け取ったのは着物と帯の代金計320レアルだ。
 当時の為替レートは公定が1ドル=1・6レアル程度。蛯原さんは「当時の闇レートは1・8〜9レアル程度だった。為替変動を予想して10%ていど原価に上乗せしただけ。利益はほとんど出ていない」という。
 着物と帯と送料合計である約1万4600円という卸値を当時の闇レートで単純換算すれば、約250レアル(当時1ドル=105円)となる。それを320レアルで販売しているから原価率は71%であり、70レアルを228人分した約1万6千レアル(約93万円)の利益が出ていてもおかしくない。
 島田さんによれば「やまとみ」の広瀬社長は出入りの業者に「百周年だから」と格安値段で交渉し、利益を度外視して蛯原さんに販売した。30%の利益は通常の商売としては高くないが、そのような経緯で仕入れたものだった。
 購入した踊り手の一人に確認したところ、「りっぱな品であり、値段も決して高くないと思った。それより、呉服屋に3年間も払わなかったことが酷い。日本との取引なんだから、取り立てないほうが悪いというブラジル的商法の感覚はおかしい」と疑問を呈した。百周年だからと心意気をみせた広瀬社長に対して長い間未払いであった責任が問われている。
 「まず全額支払うのが先決。その後ちゃんと釈明したい」。蛯原さんはそう締めくくった。