ニッケイ新聞 2011年7月2日付け
6月28日に国内最大手の大型小売店ポン・デ・アスーカルと仏系大型小売店のカレフールとの合併話が表面化し、6月29日以降の伯字紙は関連記事を連日掲載。2010年のスーパーの売り上げでは32・4%を占める2社合併の可能性出現で、各界では波紋や懸念も広がっている。
1日付フォーリャ紙によれば、昨年の国内スーパー大手5社の売り上げは、全体の46%にあたる934億6千万レアルで、2004年の40%からさらに市場占有率を上げている。
この上位5社中、売り上げの18%を占める第1位がポン・デ・アスーカル系グループ。カレフール系の14・4%、ウォルマートの11・1%がそれに続く。
逆を言えば、スーパーの売り上げの43・5%が上位3社に集中し、上位2社合併の暁にはスーパーの売り上げで32・4%、小売業界全体でも27%を占める超大型小売店の誕生となる。
ポン・デ・アスーカルのアビリオ・ディニス氏は、1948年創立の同社をここ20年、株主やや家族とも喧嘩しながら引っ張ってきた人物で、同社資本の21%は彼の出資分だという。
ところが、今回の合併の話は聞いておらず、違法だと躍起になっているのが、共同出資者で、仏国内ではカレフールのライバルの仏系企業グループ、カジノだ。
カジノは資本の37%を出資し、ホールディング会社Wilkesもディニス氏とカジノの共同経営。カジノはここ数日、11億レアルをつぎ込んで株を買い込み、出資比率を43・1%とした上、Wilkesの承認なき合併は認めないと発言しているため、ディニス氏が合意を得られなければ、国際裁判になる可能性もある。
また、合併実現の鍵の一つが、投資銀行BTGPactalからの8億ユーロと共につぎ込まれる社会経済開発銀行(BNDES)からの17億ユーロ(39億レアル)の投資。BNDES分は傘下の出資会社BNDESparを通してなされるが、大手民間企業合併への公的資金投入は国内の物議を醸している。
一方、スーパーの売り上げで32・4%、小売業界全体でも27%という超大型企業が誕生するとなると、懸念されるのは寡占の問題。独占禁止法適用に当たるか否かは経済防衛行政審議会(Cade)が判断し、合併承認の場合も、店舗が集中している所は分散させるよう行政指導が行われる可能性が強い。
また、商品や素材の供給を担う企業が案ずるのが、価格交渉などの幅が狭まり、無理を言われる可能性が高まる事。競争率や選択肢が減り店舗も分散となれば、消費者には高めの品を遠くの店で買う必要が生じる可能性がある。合併で整理統合される店も7%程度と予想され、失業を恐れる人も出ているようだ。