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イタマル氏81歳で死去=『レアル計画』から17年=超インフレから国を救う

ニッケイ新聞 2011年7月5日付け

 ブラジル元大統領のイタマル・フランコ上院議員(81)が2日、脳梗塞のためサンパウロ市内の病院で死去したと3日付エスタード紙などが報じている。
 イタマル氏は白血病が発覚した5月21日からイスラエリスタ・アルベルト・アインシュタイン病院に入院しており、重い肺炎で集中治療室に移動して加療中の2日未明に健康状態が急速に悪化。2日午前10時15分に死亡が確認された。
 1990年、フェルナンド・コロル大統領の下で副大統領に就任したイタマル氏は、同大統領の不正蓄財疑惑による辞任によって1992年末に大統領に昇格。1994年末まで任期を務めた。1994年7月1日に発効となったレアル計画(プラノ・レアル)で導入された安定した通貨『レアル』が、20年間近く続いていた超インフレを抑えるきっかけとなり、現在まで続く国内経済の基礎を作った。
 国内ではこれまでで最も大きな経済計画とされるレアル計画とは、フェルナンド・ヘンリッケ・カルドゾ財務相とエコノミストのエジマル・リズボア・ボッシャ氏らが提案したもので、経済安定化のため、通貨値に対する規則を確立し、経済のインデックス化を開始して新通貨『レアル』の使用を開始した。『レアル計画』の採用で、1994年6月は46・58%だったインフレは、同年7月に6・08%に低下。伯紙ではイタマル氏を『経済安定性の保証人』と呼んでいる。
 上議4期ほか、ジュイス・デ・フォーラ市長や州知事も務めた同氏は、州債務返済の猶予(モラトリアム)宣言でブラジル通貨危機が広がるきっかけも作ったが、疑問や問題は決して放っておかず、迅速に処置をとるタイプ。仕事には忠実で、汚職天国のブラジルで、その手のスキャンダルがなかった数少ない大物政治家だ。
 また、大統領就任中に看病していた母親の薬代は自分で払っていた同氏は、すべてを記録してインフレの影響を一国民として受けていたため、2カ月ごとに保健大臣を呼び出しては、なぜこんなに値段が急激に上がるのかと説明を求めていた。国民と同じ立場でインフレを感じていたからこそ撲滅の必要を強く感じ、国民の購買力を保証するためのレアル計画同導入を2年という短期間でやり遂げている。