ニッケイ新聞 2011年7月8日付け
2日〜6日にかけてVeja誌やO Globo紙によって水増し請求その他の不正が暴かれたことにより、運輸相のアウフレッド・ナシメント氏が6日に辞表を提出したと7日付エスタード紙などが報じている。
ナシメント運輸相は6日午後4時40分頃発表された声明で「政権から離れることを決めた」と述べ、ジウマ・ロウセフ大統領には既に辞表を提出済みと報告した。
2日発売のVeja誌は運輸省関連事業で水増し請求や請負業者から賄賂をうけとるなどといった汚職があったと指摘しており、同日ジウマ大統領と電話で話したナシメント運輸相は同省幹部や公社関係者4人の更迭を決断した。ジウマ大統領は4日、「彼(運輸相)を信用している」と発言したが、議会は同運輸相に何らかの説明を請求。同運輸相も調査委員会の設立を発表していた。
5日、上院委員会は説明のために同運輸相の出頭を要請することを決めた。また、野党は調査のためのCPI(議会調査委員会)設置に必要な署名を集め始めた。
辞任への決め手となったのは、息子のグスターヴォ・モライス・ペレイラ氏が2年前に設立した建設会社「フォルマ・コンストゥルソン」の資産が、6万レアルから5千万レアル以上へと8万6500%の急増を見せたことを暴いた6日付O Globo紙。大統領が後任選定作業に入ったと知った運輸相は、その直後に辞任を決意した。
ジウマ政権になってから6カ月余り経つが、ここ1カ月で、政権内の閣僚4人の異動があった。6月7日には、4年間で資産が20倍に急増したことを指摘されたパロッシ官房長官が辞任し、その3日後には、ジウマ大統領がルイス・セルジオ元大統領府調整担当長官とイデリ・サルヴァッチ元水産相の職責を入れ替えている。今回はそれに続き、ナシメント運輸相の辞任となった。
経済活性化計画(PAC)の予算の大部分を持つ運輸省はルーラ政権時代から効率が疑問視されており、ルーラ前大統領から召喚され「なぜ経済活性化計画は前に進まないのか?」と質問された際、ナシメント運輸相は「予算が足りないから」と答えていた。
国内には全長17億6500万キロメートルの自動車道路があるが、舗装されているのは21万2千キロメートルのみ。インドには舗装された高速道路が15億6900万キロメートルもあり、ブラジルの交通機関整備がどれだけ遅れているかが比較できる。