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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年7月9日付け

 日本の政治は三流だそうだが、今やドロ沼に嵌った。言うまでもなく、菅首相の退陣劇を巡る目茶苦茶さには、呆れ果てる。民主執行部も、手の施しようがなく、黙って見守るしかない。反首相の小沢氏や鳩山グループもてぐすね引いているのだが、これとても決め手には遠い。余りの醜態に自民党からは、不信任案を再提出の声も出るなど政界は混迷の極に達している▼6月辞任説は、あれっあれっという間に消えてしまい、7月退任もあやしい。ご本人が国会で「広島の原爆犠牲者の慰霊祭に出席したい」と堂々と述べるのだから—これはもう何とも致し方がない。その昔。田中角栄首相の退陣を受け、椎名悦三郎氏の裁定で首相になった三木武夫氏が、自民党から総スカンを食い退陣を迫られたが、粘り腰が強く話題になったが「あの二番煎じはご免」が、衆・参議らの合言葉に違いない▼自民の谷垣総裁や国民新党代表の亀井氏に副総理をと頼むのも、政界の常識としては異常でありおかしい。大震災への対応も批判が強く、原子力発電への考え方も、付け焼き刃だし熟慮し専門家らとの検討したものとは遠い—そんな印象が濃い。あの全原発の安全度を評価する突発的な「ストレステスト」にしても、現場の人々は困惑している▼この結果、玄海原発の再稼動に同意し九州電力に伝達した岸本英雄町長の立場は苦しい。佐賀県の古川知事も「玄海原発の再開」見送りに追い込まれてしまったのも、首相の裁断の結果なのである。さすがの海江田経産相も責任をとって「辞任」を語るほどの混乱であり、首相の責任は限りなく重い。(遯)