ニッケイ新聞 2011年7月12日付け
学校などが休みとなる7月は、家族連れで旅行やレジャーに出かける人も多くなるが、航空券や外食費などは通常のインフレ率以上に値上がりと10日付フォーリャ紙や11日付エスタード紙などが報じている。
景気回復による所得向上や失業率低下で国内外への旅行なども増えているブラジルだが、航空券や外食費、教育や保健衛生などのサービス費は平均以上に値上がりし、旅行などの休暇中の経費は益々かさむようだ。
6月までの12カ月の累積インフレは政府の公式指数である拡大消費者物価指数(IPCA)で6・71%だが、サービス費の上昇は平均8・75%。需要が2・5%伸びたのに供給は0・8%程度の伸びに止まっている事などが価格上昇に繋がっているという。
地理統計院(IBGE)によれば、レジャー関係で値上がり幅が大きいのは、航空券27・38%やサッカー観戦料16・48%、ホテル代13・91%、外食費11・90%など。サービス全体では、情報処理講座14・35%や銀行手数料12・09%、マニキュア・ペディキュア11・73%、医者の診察費10・34%なども、IPCAの平均上昇率を完全に上回っている。
同様の傾向はジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)も報告しており、12カ月の累積インフレ6・40%に対しサービス費は8・18%上昇。11日朝のTVニュースでは、孫と共にショッピングに行き、遊園地で遊ばせて軽食をとらせただけで240レアルが出て行ったという婦人の話なども報じられた。
具体例としてサンドイッチや飲み物9%、ポテトフライ11%、サーカスや遊園地7%などの値上がりが挙げられ、子供のいる家庭の出費は増すばかり。旅行時は航空券や長距離バスの値上がりが気がかりだが、車で出れば燃料用エタノールや高速道路通行料、ホテル代での負担が増す。
サービス料の値上がりは家賃や材料費、人件費の調整分の上乗せも原因で、来年以降も同様の傾向は続く。来年度の最低賃金が今年以上の幅で調整されれば、その他の部分の給与調整率引き上げとともに新たなインフレ押し上げ要因となる。
1レアル=1ドルの固定相場だった1994年と比べ、ドル換算での生活費は高くなったブラジルでは、サンパウロ市地下鉄を30日利用すると174レアルで、ニューヨークの地下鉄の162レアルより高く、ブラジルで6万1700レアルのトヨタカローラが米国では3万レアルで購入できるなどという笑えない話もある。
インフレ調整後の平均給与は1995年が1113レアルで、2009年の1111レアルとほぼ同じだからレアルでの購買力は一定というが、庶民には、インフレが懐を圧迫しているとの実感がいや増している。