ニッケイ新聞 2011年7月12日付け
サンパウロ市の交通渋滞が車の増加に伴って激しさを増すのに比例し、増えているのが交通トラブル。軍警が1日に受ける3万5千本の通報のうち約70本は交通トラブルによるもので、20分に1本の割になると10日付フォーリャ紙が報じている。
同市内の自動車登録台数は既に700万台を超えたが、道路の整備・拡張が間に合わないために渋滞が絶えず、無理な割り込みを行う人や車両の間を縫うように走るオートバイなど、市民の運転マナーが非常に悪くなっているため、交通トラブルによる喧嘩はたえず起き、小さな交通事故から単なるスペースの取り合いまでが喧嘩を始める理由になっている。
心理学者のリリアナ・セジェルさんによると、運転中、目の前に割り込んでくる車があると怒りを感じ、馬鹿にされていると思ってしまう人がいるという。製品開発主任のブレノ・ロペスさん(31)もこういった感情の持ち主で、自動車に船舶用汽笛を取り付け、警棒型の懐中電灯を車内に置いている。
リリアナさんによると少なくとも4%の市民は間欠性爆発性障害(IED)という一種の病気を持っており、小さな理由で激しい怒りを感じ、怒りが爆発している間は周りが見えなくなり、他人を傷つけたり他人の財産に損害を与えたりしてしまうこともあるという。場合によっては殺害してしまう時もあり、サンパウロ市では1カ月に3人は同種のトラブルが原因で死んでいる。
リリアナさんは、大問題にならないためにはトラブルに巻き込まれた際には手をあげて謝ることが第一と説明し、こうした小さなジェスチャーが予期せぬ結末を避けることになると述べている。