ニッケイ新聞 2011年7月13日付け
サンパウロ州内陸部ソロカバ市に本部があるヴァレ・ダス・オルテンシアス精神病院ピエダーデ分院で、少なくとも2人の患者が寒さで凍え死んだとの通報が病院職員からあったと11日付G1サイトが報じている。
患者をぞんざいに扱っていたとして連邦政府人権局が調査中の病院は、山頂に近く、極めて寒い所にあり、グローボ局取材班は、隠しカメラで患者が貧しい状況の中で治療されている姿を撮影した。写真には、僅かな衣類を身にまとい食堂の床で毛布にくるまっている患者や、裸で寒さに耐える患者の様子なども写っている。
元職員の女性によると、患者が衣類などを着ず裸で過ごすのは日常的なことで物資や職員の不足が原因。「ジャンバーなど寒い時期に必要な物は使える数が決められており、汚したり濡らしてしまったりした時は、1日中その格好で過ごさないといけない。シャワー後に着る服がなく、シャワーを浴びない日もある」という。
ピエダーデ分院はSUS(統一保健システム)傘下で465人の精神障害者を収容しているが、過去4年間で459人の患者が亡くなり、人権局の調査対象となっているソロカバ市周辺の七つの病院の一つだ。
通報によれば、同病院で3人の患者が亡くなった6月14日は医師が一人もいなかった。3人の内1人はすでに重病だったが、他の2人は低体温症で亡くなっている。
病院側は、3人の死は不幸な偶然で、当日は当直医もおり、寒くなかったというが、「ボン・ジア・サンパウロ」記者の調べによれば、6月14日は最高気温15度、最低気温10度だった。