ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 徐々に減る国内の人の動き=大都市集中から周辺へ=出身地域に戻る傾向強まる=市外への通勤通学は増える

徐々に減る国内の人の動き=大都市集中から周辺へ=出身地域に戻る傾向強まる=市外への通勤通学は増える

ニッケイ新聞 2011年7月19日付け

 地理統計院(IBGE)が15日、国内の人の動きは徐々に減り、移動先も、経済力のある大都市に集中する傾向が変化、近年は、開発が進む中小規模の市での人口増加や出身州や地域に戻る傾向が強まってきていると発表したと16日付伯字紙が報じた。

 IBGEによると、国内の人口移動は、2000年の510万人以後、2004年463万人、2009年324万人と徐々に減少。年3%以上人口が増えた市は444あるが、大半は人口5万人未満の市だという。
 人口移動は雇用確保を目的とする事が多く、従来の移動先は、サンパウロ州やリオ州などの南東伯が中心だったが、2000年の国勢調査や2004年と2009年のサンプル調査を比較した結果、2009年のサンパウロ州やリオ州は5万3276人、2万4063人の人口流出超過を記録。北東伯から南東伯への人の動きにも大きな変化が見られる。
 北東伯から南東伯への移動は1995〜2000年が96万9435人で、以下、1999〜2004年の54万8513人、2004〜2009年の44万3962人と激減。一方、南東伯から北東伯への移動は1995〜2000年46万2628人、1999〜2004年62万334人、2004〜2009年31万9448人で、その差は縮まっている。
 北東伯では、バイア州が国内最大の10万8326人の出超となったものの、リオ・グランデ・ド・ノルテ、ペルナンブコ、セルジッピの3州は入超を記録。北伯も西部4州とアマパーが入超となっている。
 人口流入州では地元民の帰還傾向が強まった事も特徴で、2009年の南大河州では流入人口の24%が自州出身者。以下、帰還率が高いのはペルナンブコ23・6%、パラナ23・4%。
 また、大都市での生活費高騰や犯罪増加を嫌い産業開発の進む中小規模の市へ移動する傾向は、年3%以上人口が増えた市が人口50万以上の市では皆無、10〜50万で37、5〜10万で47であったのに対し、5万未満や2万未満、1万未満の市では111、127、122だった事からも窺われる。
 交通網の発達で通勤通学圏が広がり、居住地以外の市で就労、就学する人も増加。家族の生活の質向上を通勤や通学の便利さより優先させる傾向は続いているようだ。
 これら一連の動きは、全国各地で産業開発が進む事で州や地域の経済力の差が縮まり、雇用確保のための遠距離の移動が減少している事や、少子高齢化で家族の元を離れたくない人が増えて来た事にも起因。それでも、不動産ブームのサンパウロ州海岸部サンセバスチャンでは建築現場で職を求める他州人も含め、ファヴェーラ人口が市人口増加率5・5%を上回る10%増といった例もある。