ニッケイ新聞 2011年7月20日付け
OPEC(石油輸出国機構)の年次統計報告が18日に発表され、2010年時点でベネズエラの原油確認埋蔵量がサウジアラビアの埋蔵量を超え、世界最大の原油埋蔵国になったことが明らかになったと19日付エスタード紙が報じている。
OPECによると、2010年のベネズエラの原油確認埋蔵量は前年から40・4%増えて2965億バレルに達し、サウジアラビアの2645億バレルを上回った。
しかし、アナリストたちはベネズエラの埋蔵量の開発採算性を疑問視。これは、同国埋蔵量の大部分をオリノコ地帯の重質油や超重質油が占めているためで、重質油や超重質油を抽出するのは難しい上に費用がかかると説明している。
国営ベネズエラ石油(PDVSA)の経営方針はチャベス政権の政治外交的利害を強く反映したものになっており、世界最大の原油埋蔵量確認となると、今後の政権の行方にも大きな影響を与えることが予想される。
長い目で見れば、イランとイラクの石油埋蔵量増加とともに起きたこの変化は、石油の高値を維持したいOPEC加盟国への圧力となる。イラクの石油埋蔵量は前年比24・4%増の1431億バレル、イランは10・3%増の1512億バレルとなっている。
2010年末のOPEC加盟国全体の原油埋蔵量は前年比12・1%増の1兆1930億バレルとなり、世界の確認埋蔵量の81・3%に相当。占有率は2009年末の79・6%より増えた。
一方、ブラジルANP(国家原油庁)は2010年末の陸と海の原油埋蔵量は約140億バレルと発表。OPEC発表(14位)より10億バレル多いが、ランキングが上がるほどの差ではない。鉱山動力省は、リオデジャネイロ州沖のトゥピ油田には約580億バレルの原油が眠っていると推測しており、最後に発見された岩塩層下油田により国内の原油埋蔵量は2倍になると見ている。