ニッケイ新聞 2011年7月22日付け
肺の持病の関係でここ2カ月ほど毎朝、最寄のポスト・デ・サウーデ(市立診療所)に通って注射を臀部に打っている▼先日オカマらしきモレーノの看護士にあたり、注射する振りをして3回ほど尻を揉まれた。普通なら針が通りやすいように摘まむだけだが、明らかに感触を楽しんでいるようだった。さすが同性愛者の行列に数百万人が集まる町だけあってあらゆるところに・・・▼いつもなら30分以内で終わるが、普段とは別の看護婦がやって1時間近くかかった事があった。ようやく順番となり診察室に入ったら、前の患者に注射するはずの薬剤を注射器に移していた看護婦が大声を上げた。見ると注射器が壊れて、薬剤がドバドバと床に流れているところだった。心の中で天を仰いだ▼気が重いと思っていたら、いつもの看護婦長が通りかかり、彼女がやってくれることに。「よかった」と胸を撫で下ろす間もなく、婦長まで「ドバドバ」と始めた。どうやら注射器に大量の不良品が混じっていたよう▼注射する前に「10本も試してようやくまともなのがあった」とブツブツ言い訳し、「大丈夫?」と聞くと「いつもの事だから」といいつつも、注射器を押す指先にはしっかり力が込められ、ギューと注射液が入ってきて、思わず「痛い!」と叫んだ▼そのような医療環境の中でも、我慢強く働く彼女らには頭が下がる。日本ならこれだけの医療機関網を政府が無料で維持することはありえない。この部分だけ見れば高福祉国家といえる。SUSという制度自体には高邁な理想が込められている。この国の問題はいつも同じ。制度でなく、運営だ。(深)