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陶芸を慈善活動に活かし=『SUKIYAKI・DO・BEM』=陶芸家 本間ヒデコさんに聞く=憩の園、震災支援に9万8千レ

ニッケイ新聞 2011年8月4日付け

 グランド・ハイアット・サンパウロホテルで先月23日に開催された『SUKIYAKI・DO・BEM』。5回目を迎えた今回、陶器の競売を呼び物に約340人の来場者が集まった。収益金は9万8千レアルが集まり、7万8400レが憩の園に、ほか福祉団体と、東日本大震災支援のため日本赤十字団にそれぞれ9800レが送られた。「陶芸を慈善活動に活かしたい」とイベントを始めた本間さんに話を聞いた。

 サンパウロ市にアトリエを構え、有田焼の手法で制作を行なう陶芸家の本間ヒデコさん(二世、56)のもとには、「繊細な表現が可能な日本の手法を学びたい」と70人の生徒が集まる。
 自身が日本で体験した厳しいやり方で、完璧な作品が出来るまで繰り返し練習させる。
 真剣に取り組む生徒たちの作品の質が向上していくうち、「この作品を何かためになることに使えないか」と考えるようになった。
 福祉団体への寄付を思いつき、知人の提案で憩の園を寄付先の1つに決めた。
 偶然、家族との会食の場にホテルの関係者たちが揃った。「陶器を使って、慈善行為として夕食会を開きたい」とアイデアを打ち明けると、同席していたシェフの「すき焼きにしては」との提案でメニューが決まった。
 陶器が持ち帰れる慈善夕食会として、年々知名度を上げた。5回目となった今回、ジュン・サカモト氏ら著名なシェフたちもボランティアで参加するようになった。
 最高級の料理を提供するため、来場者は340人に抑えた。和牛や有機野菜などこだわりの素材を使ったすき焼きをメインにしたコース料理に舌鼓を打ちながら、料理が盛られた味わいある陶器を鑑賞する姿が見られた。
 ショーには、初回から参加しているという歌手中平マリ子さんや北海道協会のよさこいソーランが舞台に。シェフのサイン入り陶器の競売では、値がつくごとに会場は大いに盛り上がった。
 金谷弘子さん(76、サンパウロ市)は、「慈善が目的なら少し高くても払ってもいいのでは」と笑顔で話した。
 本間さんは、会場を満足そうに見渡し、「最近は若い生徒も準備を手伝うようになったし、励みにもなっている。これからも毎年続けられれば」と意欲を見せた。