ニッケイ新聞 2011年8月5日付け
上半期にインフレ以上の税収増を記録したサンパウロ市で、同期間中に洪水対策や学校建設などの優先すべき事業に投入された予算は20%以下と4日付フォーリャ紙が報じた。サービス税一部還付制度も発足した同市で、市民の血税を何にどう使うのか、市当局の方針や姿勢が問われている。
大雨が降れば洪水、子供を保育所に預けたくても定員不足、保健所や病院は長蛇の列—。サンパウロ市で聞かれる市民の不満は数多いが、問題解決のための予算投入は僅かで、学校の増改築や排水路清掃と整備、ファヴェーラの市街化、公園設置や街路灯整備への支出は20%以下だった。
予算投入率が比較的良かったのは、保育所の増改築費1億2270万レアルに対する2120万レアル(17・2%)や、洪水対策費1億5260万レアルに対する2790万レアル(18・3%)だが、予算1億3900レアルの危険区域の防災工事や立ち退き費は3・14%の440万レアル、5500万レアルの照明費は0・14%の8万レアル、2千万レアルのファヴェーラ市街化計画費に至っては支出ゼロという状況だ。
今年の経済成長は予想以下と見る当局は、収入に見合う支出のみを認めるというが、上半期の税収は昨年比6・5%増の154億レアルだ。
予算そのものが昨年の279億レアルを28%上回る358億レアルだから、一部削減の必要が生じる可能性はあるが、市長や議員の給与大幅引上げなどを認めつつ、優先事項への支出引き締めは納得しかねる。
当局は、計画段階や入札過程の事業もあり、下半期は支出が増えるとしているが、バス料金をインフレ率以上に調整して不評を買うなど、市財政のあり方には不満や疑問の声があるのも確かだ。
一方、脱税を防ぎ、実質的な増収にも繋がるとして7月1日に承認されたノッタ・フィスカウ・パウリスターナが、8月1日から発効となった事は2日付伯字紙報道。
商品流通サービス税の30%を消費者に還元する州政府のノッタ・フィスカウ・パウリスタ同様、学校やアカデミアの月謝、修理工の手間賃などから徴収されるサービス税の30%を還付するもので、納税者番号入りの領収証を頼めば還付額が積算されていく。還付額が25レアルを超えれば、口座への振込みや家屋税(IPTU)との相殺請求も可。州の還付金による家屋税相殺は半額までだが、市の還付金では全額相殺も可能だ。
学校の月謝が300レアルならサービス税は6レアルで還付額は1・80レアル、1時間12レアルの駐車場なら0・18レアルが還付される。
毎月10〜10万レアルが当たる抽選への参加や還付金額の確認、還付請求は、nfpaulistana.prefeitura.sp.gov.brへの登録が必要だ。