ニッケイ新聞 2011年8月6日付け
親子で振り付けと指導に携わったのは、弓場農場の小原明子さんとあやさん。
「トモダチ・デ・ビリグイ」を指導した明子さんと熊本由美子さん(52、2世)は、「日本語が分からない子が多いが、踊りに言葉はいらない。場面に応じて優しく、また楽しく踊るように指導しました」。
小原あやさんは3年前から、4〜10歳の平成学院の生徒で構成される「平成なるこキッズ」の振り付けと指導を行う。 40人余りが一気に舞台に登場すると、一段と大きな拍手と歓声が上がった。動きの意味も教えながら指導したというあやさんは、「皆成長しました。冬休みも返上して、何度も繰り返し練習していた。父兄の協力も大きかった」と笑顔で語る。
「ちょっと最初にトチりました」と笑うのは、自らも出演し、平均年齢70代の「シアワセ・ソーラン」を指導した谷文雄さん(68、高知)。60歳から文協でダンスを習い始め、若者を集めようと、ダンス仲間とYOSAKOIソーランを始めた。
その結果、最初に「シアワセ〜」ができ、日本語学校に通う生徒中心の「ハナビ・ソーラン」が発足。両グループの指導と振り付けを行っている。
「メンバーには出ることが大事だと言いました。皆尻込みしていましたが」と笑う。年齢を考え無理のない振り付けにしつつも、踊りは「力強さを表現しました」。
参加したメンバーの女性は、「出る前は緊張。でも感動的でした。大会のために2年練習しました。良い経験になりました」と晴れやかな笑顔。
審査員の豊田氏はニッケイ新聞の取材に対し、「選考は難しかった」と賞賛の声を上げた。
「グルッポ・サンセイには安定した技術がある。来年からは特別招待枠で出場してもらうべき」と見解を述べ、「高齢者チームの参加も促したい。部門を新たに設けたら良いと思う」と話していた。
年々レベルが高まっている要因について西谷セルジオ氏は、「彼らは研究熱心で、日本のYOSAKOIを良く見ている。JICAで日本から指導者を招いたり、サンセイが日本へ行ったりと本場との交流が深まっている」と指摘した。
大会に関しては、「出場者も来場者も、皆が楽しんでいたのが何より」と頬を緩ませた。
第一部を見た後、「最初から最後まで良かった」と賛辞を送るのは、サンパウロ市在住の早藤エミリアーナさん。大会には初めて訪れたそうで、特にクリチーバのチームの演技が気に入ったそう。
同じく初めて訪れた高本ブルーナさん(24、サンパウロ市)は、平成学院で太鼓を教えているという。「綺麗で、良くまとまった踊りだった」と笑顔で感想を話した。