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ボヴェスパ=ブラジルへの信頼感は仏以上=当地10%はNY5%に相当か=米欧両極に不安蔓延る中=企業家達はしばし我慢か

ニッケイ新聞 2011年8月10日付け

 サンパウロ証券市場(ボヴェスパ)が9%超の大暴落を見せ、最終的にも前日比8・08%下落で取引を終えた8日、ギド・マンテガ財相は、ブラジルも国際的な経済不安と無縁ではありえないが、問題を乗越えるための備えは出来ているとの見解を明らかにしたと9日付伯字紙が報じた。

 08年の国際金融危機を思い起こさせるような株式暴落は世界的な動きで、ボヴェスパの8・08%という数字はアルゼンチンの10・73%に次ぐ大幅下落だった。
 だが、ブラジル証券市場の暴落は回復も早い事の裏付けと見るのはHSBCのジウベルト・ポゾ氏。ボヴェスパは市場規模が小さく、株の動きが指数になって表れ易いが、これは国内外の投資家が株を動かし易い事を認めている証拠だという。
 同様の考えを表明する専門家は他にもおり、ボヴェスパでの10%下落はニューヨークでの5%相当だという。
 8日の場合、米国のナスダックが6・90%、ダウ・ジョーンズが5・55%下げているから、ボヴェスパの8・08%は米国ほどの下落ではなかったといえる。それでも、ブラジル最大手のペトロブラスとValeを合わせた損失が426億レアルと聞けば、その影響は軽微ではない。
 株を売った金は格付けは落ちてもこれに勝る投資先はないとされる米国債と金(きん)に流れ、同国債金利を更に下げたのは、欧州国債金利上昇と対照的だ。
 米国に端を発した08年の金融危機と今回の経済不安を比べた場合、今回は米国と欧州の両極での負債が原因という根本的な差がある。
 また、08年の金融危機からの回復が期待したほどでなく、当時より負債を膨らませながら表面的な回復を見せてきた米国や欧州の無理が祟ったといえるのが今回の世界的な株式暴落現象だ。
 米国や欧州での雇用や国内消費の回復の遅れに対し、対極をなすのが08年の金融危機時も国内消費が衰えず早期回復を遂げたブラジル。マンテガ財相やジウマ大統領が揺すられても倒れないし、そのための対策もすぐに打つと言える要因は、国内消費継続や外貨準備高が十分な事など。5年以内にブラジルが債務不履行になる可能性は9・2%で、米国の4・8%ほどではないが、13%のフランスより高い信頼感を得ているのも同じ原因だ。
 8日の取引で損失を受けた企業筆頭は、25・75%下落した食料品のMarfrig。石油・天然ガス部門のOGXや輸送部門のLLXなどが16・82%、14・05%といった大幅安を記録し、ここ数日で20億ドルを失ったとされるEBXグループ社主のエイケ・バチスタ氏も、「生産活動に入っていないなどの理由で自社株を買えないから暴落したように見えるが、2015年までの運転資金に見合うだけの手持ち資産は残してあり、今膝をかがめるのはこの後の飛躍のため」と冷静そのものだ。