ニッケイ新聞 2011年8月11日付け
連邦警察が9日、観光省絡みの汚職事件摘発に乗り出し、同省関係者ら35人を逮捕したと10日付伯字紙が報じた。運輸省、農務省に次ぐ官庁汚職では、文書偽造などを行なって立ち上げられた非政府団体(NGO)に支払った金の3分の2が横領されていた疑いがあるという。
連警が〃ヴォウシェル作戦〃と名づけた汚職摘発は、4月から始まった捜査に基づくもので、観光省No.2のフレデリコ・シウヴァ・ダ・コスタ秘書室長ら35人が、公金横領や文書偽造などの罪で逮捕された。
連警によれば、今回の観光省汚職は、サンパウロ市にある持続可能な基幹構造開発研究所(Ibrasi)が、09年に結ばれた契約に基づいて受取った444万5千レアルの内、3分の2にあたる300万レアルが横流しされたというもの。
同団体とはその他にも契約が結ばれており、ここ2年間に支払われた額は1400万レアルに上るが、契約内容は殆ど実行されてないという。
観光省との契約は、アマパー州選出の民主運動党(PMDB)ファッチマ・ペラエス下議提出の議案に基づく、同州での観光業務に携わる人材養成事業に関するもの。
09年11月12日提出の議案は同年12月21日に当時のマリオ・モイゼス観光省秘書室長の署名を得、4400万レアルの契約が成立。
翌10年6月30日提出の予算500万レアルの暫定令は同9月15日にフレデリコ・ダ・コスタ現秘書室長が署名。計3件の契約が続けざまに承認されている。
一方、このIbrasiは、2006年に活動を停止した団体の登録番号を使って2009年7月設立の新設団体。設立5日後に活動内容や技術水準などを証明する書類5種を入手しているが、官公庁と契約を結ぶ団体は最低3年以上活動実績がなければならないという規定に反するばかりでなく、各種書類にサインした政治家や官公庁も、そんな団体は知らないとか正規の登録はされてないと返答している。
前政権中に締結された契約が問題になっているとはいえ、前記秘書室長2人や現開発局長ら観光省関係者6人が逮捕された事で、下院は10日、来週早々に観光相を召還して事情説明を求める事を決めている。
7月2日発売のVeja誌がすっぱ抜いた運輸省絡みの汚職や、農務省傘下の国家配給公社(Conab)絡みの汚職表面化でジウマ政権が揺すられる中、新たに行なわれた摘発作戦は、連警が動き出す9日朝まで大統領に知らされていなかったというが、7月28〜31日実施のIbope調査では、3月に73%を記録した大統領支持率が67%に低下。
運輸省絡みの解任者が22人、今後はConabも含む汚職浄化に忙しい大統領の表情が、一段と険しさを増しそうだ。