ニッケイ新聞 2011年8月11日付け
本紙面でも紹介した桜の研究家、岡村比都美さんは、「多くの人にとって〝桜″といえば思い出。でも思い出を語るばかりで、貴重な桜文化は継承されない」と語る。
彼女の活動は徐々に知られ、日本航空から依頼され、花びらの甘煮をあんこに入れた『桜あんぱん』が、今春ファーストクラスで提供された。
また、桜の保全活動が盛んなアメリカのシアトルでも、古めかしいイメージを「未来への夢ある桜」に変えて人々の関心を集めようと、飛行士山崎直子さんの希望で、花びらの塩漬けがスペースシャトルの機内食にも採用された。
古き桜文化が新たなイメージをまとって生まれ変わりつつあるようだ。まだ桜を根付かせる段階にある当地。桜並木が出来る頃、人々が抱くイメージはどんなものだろう。植樹と共に、豊かな桜文化が創られていくことを願いたい。(阿)