ニッケイ新聞 2011年8月18日付け
FCコリンチアンスのアンドゥレス・サンシェス会長は、建設中のスタジアム「イタケロン」の命名権の販売を考えており、現在約3億レアルで民間銀行と交渉していると16日付エスタード紙が報じている。
国内では2014年のワールドカップを前に、スタジアムの建設や改修がブームとなっている。こうした中、建設や経営負担を少しでも軽減する方策の一つとして国内で注目されつつあるのが「ネーミングライツ(施設命名権)」だ。
ネーミングライツとは公共施設に企業名や商品ブランドなどを冠する権利を与える代わりに施設運営者が企業から代金を受け取る仕組みで、1973年にアメリカで初めて導入された。
命名権獲得に名乗りを上げた民間銀行との交渉がすぐにまとまらなかった原因は、命名期間は15年とするクラブと20年を望む銀行との意向の相違。クラブ側の理事の一人は、一度の契約でブランド名が15〜20年間スタジアムの名前として刻まれれば「長い間使われた名前がそう簡単に変えられることはない」し、スタジアムが目に見える形になるのはまだ先のことだから、時間をかけて話をまとめるべきだと説明している。
その一方、「新しいスタジアムに正式名のない状態が長く続けば続くほど、国民がかってに名前を付けてしまう可能性が大きい」とBDO/RCSのコンサルタントのアミル・ソモッギ氏は指摘している。現在同スタジアムは、イタケロンやフィエルゾンの名前で呼ばれている。
命名権の販売で得た金は、BNDESから受ける4億レアルの融資の返済に使われる。
国内のサッカー場に企業名が入るのは初めてではない。2005年〜2008年にかけて京セラ・アメリカはアトレチコ・パラナエンセと契約を結んでおり、拠点のクリチバ南部のサッカー場が「京セラ・アレーナ」と呼ばれていた。