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多発する南米移民の争い=互いの間に偏見や反発感

ニッケイ新聞 2011年8月19日付け

 サンパウロ市内ではボリビア人、パラグアイ人、ペルー人の間で連続的に争いが起きていると16日付G1サイトが報じている。
 2011年1月〜7月に軍警によって確認されたこれら三つの国の外国人が関わったケンカや暴動は、71件に上っている。内1件は殺人事件、34件は窃盗事件、36件は傷害事件で主にカニンデ区、ブラス区、パリ区で深夜にかけて発生している。
 軍警はこの地域における問題多発を認めているものの、ほとんどの事件は被害者が被害届を出さないため、捜査が行われていない。G1の調査によると、2010年11月〜2011年7月にかけて起きた争いは10件で、内7件が捜査中だという。同期間これらの争いによってボリビア人が7人、パラグアイ人とペルー人がそれぞれ1人ずつ殺害されている。
 混乱の拡大を避けるため、ボリビア人を対象にしたナイトクラブなどはパラグアイ人やペルー人の出入りを禁止しており、警備員が外見から入る人を選択している。
 「ラテン人の間で偏見や差別が原因で争いが起きているとよく耳にする。我々は、ボリビア人がよく出入りする拠点とする場所の治安確保を要求する請願書を作っています」とボリビア住民協会のカレン・ヴェロニカ・モラレス会長は話している。
 関係各国の領事館によると、サンパウロ市にはボリビア人が30万人、パラグアイ人が1万8千人、ペルー人が5千人住んでいるという。ほとんどの人がブラジルで働き続けるための許可を申請しているが、事件に巻き込まれた不法滞在者の場合、警察に検挙されるのを恐れ、泣き寝入りするケースも多いという。
 また、南米移民同士の争いを少しでも減らすため、領事館や軍警がポリビア人の子弟を警察官として採用することを推薦していると17日付G1サイトが報じている。