ニッケイ新聞 2011年8月19日付け
レジストロから平和の願いを——。『第3回レジストロ平和灯ろう流し』(山村敏明実行委員長)が13日、ブラジル広島文化センター、長崎県人会、ブラジル被爆者平和協会などの共催で執り行われた。会場となったベイラ・リオ広場には、サンパウロ市から長崎、広島両県人会会員らが訪れたほか、地元の州、私立学校の生徒など約500人が出席し、核なき世界を願った。
「若い人達に核廃絶を呼びかけたい」との山村実行委員長の挨拶で、午後4時から式典は開始。サンドラ・ケネディ同市市長、成田強在聖日本総領事部長、安部順二連邦下議らが参列した。
共催団体代表らにより献花が行われた後、長崎平和公園の「平和の泉」から採水された水を献水した。
続いて広島、長崎両県知事からのメッセージが山村実行委員長、川添博長崎県人会長によって代読された。
サンドラ市長は、「ここレジストロから恒久平和の願いを発信していきたい」と世界平和を祈り、宣言した。
その後、読経のなか来場者は焼香の列をつくった。杖を娘に預け一心に祈りを捧げていた松田あさ子さん(89、山形)は、「原爆、地震で亡くなった人を思うと涙が出てくる。離れていても日本を想っています」と話した。
同市の州立、私立校の生徒ら約が300人が「原爆ゆるすまじ」「千羽鶴」を日本語でコース、平和を願う歌声に来場者は耳を傾けていた。
サンパウロ市から訪れた道菅武保さん(66、広島)は、「非日系の子供達が日本語で歌う姿は心打たれる。日系人の多いレジストロならでは」と感想を語った。
約300基の灯ろうがリベイラ川上流に停泊する船から流されると、出席者は川岸に移った。
父親が戦前に広島から移住した小田シゲオさん(73、二世)は「灯ろうを見るのは初めて」と水面に灯る淡い光を眺めていた。